なぜ今、「ガチガチの管理」が機能しなくなったのか――「管理をやめた成長企業」の社長に直撃:悩めるマネジャー必見(1/6 ページ)
変化の時代にガチガチの管理をしても成果は上がらない――。そう話すのが、書籍「管理ゼロで成果はあがる」の著者、倉貫義人氏だ。その理由は?
元ハンズラボCEOで、現在メルカリのCIO(最高情報責任者)を務める長谷川秀樹氏が、志高きゲームチェンジャーと酒を酌み交わしながら語り合う本対談。今回のゲストは、ソニックガーデン代表取締役社長で著書『管理ゼロで成果はあがる〜「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう』も話題の倉貫義人さんです。
性善説によるマネジメントが成り立っている理由について語られた前編に続き後編では、「ガチガチの管理」が機能しなくなった理由から、変化できない企業の行く末、老後に「無価値な人間」にならないためにすべきことなどに話が及びました。
目次
「打刻不要の勤怠管理システム」が生まれたわけ
長谷川: 倉貫さんの会社が作った打刻不要の勤怠管理システム(※)、いいですよね。
※ PCの起動・終了ログや、カレンダーに登録された予定などをもとに、打刻レスで労働時間を算出する勤怠管理サービス「ラクロー」
倉貫: 僕らのサービスって、自分たちが社内で使っているものをお客さん向けにラッピングし直してSaaS(クラウドで提供するソフトウェア)として提供することが多くて、ラクローももともと社内で使っていたものなんです。
うちは40人の社員が18都道府県にいてバラバラに動いているんです。どうやって勤怠管理するのかというと、以前は、開始と終了のボタンを押して自己申告してもらっていました。でも、よく押し忘れるし、ミスが発生します。いくらセルフマネジメントといっても、人力に頼っているのはつらい。
それで、「勤怠管理で何が大変なのか」を調べてみたら、労務局に監査に入られた時なんですよね。監査ではコンピュータのログを出して、自己申告の労働時間とズレがないかどうかをチェックします。タイムカードでは18時に帰ったことになっているのに、夜中の3時にメールを送っているのが発見されたらアウト。労務管理上は、働きすぎかどうかより「うそがないこと」が大事なのです。
だとしたら、監査で初めてコンピュータのログを洗うんじゃなくて、最初からログをとっておけばいいじゃない、というのがラクローを作ったきっかけです。僕らはPCで仕事するから、ログを追えばその人の仕事を全て可視化できるはずなのです。
長谷川: PCを立ち上げているけど、仕事をしてるんじゃなくてYahoo!ニュースを見ている人もいるかもしれない(笑)。
倉貫: それはまぁ、いいんじゃないかと(笑)。
長谷川: じゃあ、夜中にむくりと起きてメールを1本打って、また寝た――。そういう場合はどうしますか?
倉貫: 夜中にメール出すなよ、と。それはダメ(笑)。
長谷川: ある程度、連続的なアクティビティーしか見ないということ?
倉貫: いや、連続していなくてもいいんですよ。完全にフレックスなので、午前中に仕事して3時間くらい昼休みをとってから戻ってくる人もいるし、2時間くらい抜けて免許を取りに行くとかもあります。途中抜けは全然いいんです。
ただ、夜中3時に起きてメールを送るというのは普通はあってはいけないし、仮にそうしなければいけない事情があったのなら、なかったことにせずに深夜手当を出したらいいと思います。
長谷川: なるほどね。
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