なぜ今、「ガチガチの管理」が機能しなくなったのか――「管理をやめた成長企業」の社長に直撃:悩めるマネジャー必見(4/6 ページ)
変化の時代にガチガチの管理をしても成果は上がらない――。そう話すのが、書籍「管理ゼロで成果はあがる」の著者、倉貫義人氏だ。その理由は?
古い会社や上司を変えることはできないが……
長谷川: もう昔みたいな管理は意味がないんだけど、それを上司が分かってくれない――と嘆くビジネスパーソンも多いでしょうね。
倉貫: 「どうしたら分かってもらえますか?」「うちの会社はどうしたら変わりますか?」という質問は、よくされますね。人のことはそう簡単に変えられないので、答えはありません。ただ、古い価値観の会社は淘汰されるでしょう。クリエイティブな仕事って、お金で人を働かすことはできないんですよ。
産業革命以前は土地を持っている人が偉くて、「農場貸してやるから働け」と労働者を働かせることができました。産業革命が起きると、工場を持てる資本家が偉くなりました。お金で人を動かせたんですね。
だけど今は、手を動かして作れる人が偉い時代です。メルカリさんでは社員から経営への突き上げが激しいという話がありましたけど(前編参照)、それって、メルカリでもGoogleでも、「人がいなくなったらビジネスが成り立たない時代になったから」なんですよね。若くてスキルを持っている人ほどお金なんかで動かないし、自分のスキルを持って世の中を渡り歩ける。その結果、古い会社が淘汰されれば、世の中は勝手に良くなっていくんじゃないですか。
長谷川: そう思います。
倉貫: もう1つ、人を外側から強制的に変えることはできないけれど、「人が変わる瞬間を作ることはできる」と思ってます。僕がまさにそうで、今みたいに本を書いたり講演したりするようになったのは、変わるきっかけがあったからなんです。
社会人2年目くらいの時にイベントに行って、大企業で働く会社員の方がアジャイル開発についてすごい講演をしたのを見たんです。「会社員でも講演するんだ!?」とびっくりして、「もしかしたら自分にもできるかも」と思うようになりました。人間には認知の問題があって、存在を知らないものに注意を向けたり、そうなりたいと思うことはできないんですよね。だから、まずは知るということが大事です。
僕らの会社の働き方について情報発信しているのも、「そういうことができるんだ」と知ることで「やってみよう」と思ってくれる可能性があるからです。それが、小さい会社なりに世の中に影響を与えることのできる方法だと思って活動しています。
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