なぜ今、「ガチガチの管理」が機能しなくなったのか――「管理をやめた成長企業」の社長に直撃:悩めるマネジャー必見(3/6 ページ)
変化の時代にガチガチの管理をしても成果は上がらない――。そう話すのが、書籍「管理ゼロで成果はあがる」の著者、倉貫義人氏だ。その理由は?
なぜ今、「管理」が機能しなくなったのか
長谷川: Googleの人とセキュリティの話をしたときに「なるほど!」と思ったのが、例えば社員がフィッシングサイトみたいなところにアクセスしそうになったとき、ブロックして「変なサイトにアクセスしたらあかんやないか」と怒るんじゃなくて「変なところに行きそうやったけど、俺が守っといたからOKやで」と、Googleではそういうコミュニケーションをしているそうなんです。
残業も同じだな、と思って。「お前、月何十時間超えたから、これ以上残業するな!」という禁止のコミュニケーションじゃなくて「お前、働きすぎやで。大丈夫か?」みたいに語りかけられたら、めっちゃ面白いなと思うんですけど。
倉貫: 同感です。そもそも勤怠管理って、会社が働かせる・働かせないをコントロールするためじゃなくて、本人を守るためにあるんですよね。法律を含め、世の中の全てのものが誰かのためを思って作られたはずなんだけど、形になると何か冷たいものになってしまうのが残念です。いきなり「これはダメ!」というよりも、まずは「あなたのためですよ」というコミュニケーションがあった方が、絶対いいと思います。
長谷川: でも、決まりだからと「残業するな」と怒っちゃう上司もいると。
倉貫: 日本は、規則を守らせることがマネジャーの仕事だと思っている人が多いですよね。マネジメントと管理は違うのに、「管理職」という言葉が生まれたが故に、一緒くたになってしまっている。
僕はマネジメントというのは、ピープルマネジメントとかタスクマネジメントとか、「●●マネジメント」の「●●」を抜かしてしまうと意味がなくなるものだと思ってます。ピープルマネジメントだったら人が能力を発揮できるようにするとか評価するとかいうことかもしれないし、タスクマネジメントならタスクを見えるようにしたり進捗を管理したりすることかもしれません。
ざっくりいうと、「●●マネジメント」の「●●」をいい感じにすることがマネジメントであって、その手段は1つに決められるものではないはずです。例えばピープルマネジメントでは、めちゃくちゃ優秀な社員が相手なら何もしないのが一番いいかもしれないし、悪い奴がきたらものすごく監視するのがマネジメントかもしれない。相手によってやり方を変えないといけないわけです。
長谷川: そうですね。
倉貫: 昔の大量生産の時代は、「頑張ってるな!」とか「もっと頑張れよ!」とか、アメとムチの管理で「マネジメント=いい感じにする」が成り立っていたんでしょう。でも、今の仕事って、人によってやっていることは違うし、昨日やっていたことを今日もやるというものではない。つまり再現性がめちゃくちゃ低い。
僕はそういう仕事を「クリエイティブな仕事」と定義しているんですけど、それをマネジメントするとなると、「管理する」というのは合わないんです。ライターさんに「いい記事書かないと評価しないぞ」といっても、「言われなくたっていい記事書きたいです」って話ですよね。プログラマーも、上司から言われなくても自分でいいプログラムを書きたいと思えば勝手に頑張ります。
現代の仕事を「いい感じ」にするのは管理じゃないのに、いまだに管理職とか管理という言葉に引っ張られているから、現実とズレてしまうんです。
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