「やよい軒」「ほっともっと」運営会社のプレナス 大戸屋・コンビニとの“死闘”の行方:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
プレナスは「ほっともっと」や「やよい軒」を運営している。ほっともっとは苦戦しており、新業態の強化を急ぐ。一方、ごはんのおかわり自由が強みのやよい軒は店舗数を増やしているが……。
大戸屋の失敗を繰り返さないために
ほっともっとグリルのグリル弁当は、おかずとごはんで合わせて790円からということになる。これにお茶やみそ汁、スープを足すと900円前後となってしまい、定食屋でいえば大戸屋並の値段となる。
店舗は、女性には入りやすいが“ガテン系”の男性は入りにくい感じで、学生が気軽に来られる雰囲気でもない。ある時点から大戸屋が採用してきた、ヘルシーでプチぜいたくな路線と近似していると言えよう。しかも、弁当屋なので大戸屋のような店員のサービスもないということになる。
しかし、大戸屋が炭火で調理した魚や鶏肉を売りにしているのに対して、ほっともっとグリルはスチームオーブンを売りにしている。人間の調理技術によってブレが生じやすい炭火よりも、設定をすればあとは機械が自動的に調理してくれるスチームオーブンの方が、オペレーションが楽だ。素人でも難なく調理可能で、人件費をカットできるという点では、スチームオーブンが有利である。
現状のほっともっとグリルは、グリル弁当を目当てにする小さな子どもを連れた主婦や30代くらいの共働きの夫婦の顧客が多いようだ。しかし、実は従来店からあったのり弁当(300円)、しゃけ塩焼き(390円)、しょうが焼き(400円)などといったグリル野菜が入らない安価なメニューも残している。
そこが、全てのメニューを値上げしてしまった大戸屋との違いである。
大戸屋は4月のメニュー改定で、看板メニューの1つである、低価格の「大戸屋ランチ」(720円)を廃止した。一方、「大戸屋おうちごはん」(870円)を新規導入したこともあり、安く食事を済ませたい客の足を鈍らせてしまった。
従来のファンであった学生やビジネスマンを切り捨ててでも女性客を開拓しようとして、業績が伸び悩む大戸屋と同じ失敗を繰り返さないためにも、低価格のメニューをいかに売っていくかが、ほっともっとグリルの成功の鍵となりそうだ。
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