「やよい軒」「ほっともっと」運営会社のプレナス 大戸屋・コンビニとの“死闘”の行方:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
プレナスは「ほっともっと」や「やよい軒」を運営している。ほっともっとは苦戦しており、新業態の強化を急ぐ。一方、ごはんのおかわり自由が強みのやよい軒は店舗数を増やしているが……。
弁当業界はコンビニに押されてる
プレナスの2019年2月期決算は、売上高は1539億1400万円(前年同期比5.6%増)と伸びたものの、営業損失が5億100万円、当期純損失が29億2600万円と赤字に転落していた。経常利益は1億4300万円(同97.3%減)とわずかながら出ていたが、急速に悪化したのは明らかだ。
国内の店舗展開は、ほっともっとが2723店から2748店へと25店増えている。年商が1100億3600万円(同4.2%増)なのに対して、営業損失8億6000万円と赤字になってしまった。前年は39億7600万円の営業利益が出ていた。決算書によれば「主に商品力強化・人材確保・育成への投資、仕入コストの上昇」が赤字の要因だという。要は拡大路線で店舗が増えすぎたのだろう。そこで、新業態であるほっともっとグリルと、ほっともっとを立地によって2ブランドに分けようとしている。
コンビニの商品強化も影響している。弁当の味の向上に努めているのはもちろん、イートインスペースを備える店が増えた。他にも、おかずになるような惣菜類が充実し、カップ麺、おにぎり、サンドイッチ、サラダからスイーツまで商品のラインアップがますます豊富になっている。サラダチキンのようなヘルシーな商品にも力を入れてきており、20〜40代の男性ばかりでなく、働く女性のニーズにも応えている。
弁当業界はコンビニに押されて全般に苦戦しており、ハークスレイの「ほっかほっか亭」も、19年3月期の売上高182億200万円(同4.4%減)、営業利益11億8200万円(同3.5%減)と減収減益である。
健闘しているオリジン弁当
そうした中で、コンビニに対抗して果敢に業態を変えてきたのは「オリジン弁当」を展開してきたオリジン東秀で、2014年から出店している新業態「キッチンオリジン」を拡大中だ。量り売りの惣菜を売っている。9月9日現在で393店まで増えた。これは働く女性をターゲットにしており、カフェ風の店舗を構築し、自由に選べる野菜中心のヘルシー志向なデリを十数種類以上、豊富にそろえている。
一方で、男性に人気が高い弁当も出来合いを含めてそろえている。おにぎりやおでんもあるので、弁当をつくる時間がない人のニーズにも応えられる体制になっている。
そのうえ、多くの店ではイートインを備え、うどんやラーメンのような麺類だけでなく、生ビールなどでちょい飲みも楽しめる店もある。つまり、飲食店としても機能しているのだ。しかも、セルフ式のコーヒーが1杯70円とコンビニの100円よりも安く飲めて、充電できるコンセントを備えた店まである。キッチンオリジンのカバーする客層は広い。
ほっともっとグリルも頑張っているが、ヘルシー志向の女性にターゲットを絞り込み過ぎているのが気になるところだ。
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