なくせるか再配達 Amazonが「置き配」の標準化に向け実験開始 自社ロッカーも展開へ:岐阜県多治見市で
Amazonが2019年10月から「置き配」の標準化に向けて実験を開始する。岐阜県多治見市が対象。置き配は既に都市部を中心に実施している。気になるのはセキュリティーだが、現時点では盗難などは1件も起こっていないという。同社はロッカーの設置も進めており。物流の大きな転換点となる可能性がある。
Amazonは2019年10月から、「置き配」を標準的な配送方法にする実験を開始する。置き配とは、受取人の在宅・不在にかかわらず指定の場所に商品を置いておくサービス。人件費の高騰など流通コストが高まる中、再配達の必要がなくなるため注目を集めている。
今回の実験は、10月中に注文があった商品で、岐阜県多治見市内が届け先となるものに対して行う。置き場所は、「玄関」「宅配ボックス」「ガスメーターボックス」「自転車のかご」「車庫」「建物内受付/管理人」のいずれかを選択する。なお、置き配を希望しない場合には通常の対面受け取りも可能。また、指定された置き場所に配達員が入れない場合や、配達場所が安全でないと判断された場合には、置き配を利用できない場合もあるという。
なお、実験では再配達率を中心とした配送効率の変化や毀損・紛失のデータなどの集計を行う。Amazonでは19年3月から置き配のサービスを開始。順次対象のエリアを拡大してきた。広報担当者によると、既に対象となっている地域のユーザーからは好評を博しているとのこと。詳しい数字は明かさなかったが、再配達率も減少しており、配達効率の向上に寄与しているという。
置き配と聞いて心配なのが盗難などに対するセキュリティーだ。他社の例を見てみよう。日本郵便とタッグを組み、6月〜8月に体験キャンペーンを行ったYper(東京都渋谷区)は、「置き配保険」を用意している。提供する置き配用バッグ「OKIPPA」のプレミアムプランに加入することで、盗難があった際には最大3万円まで補償を受けられる。
一方、Amazonは「いかなる弊社のサービスを悪用する行為を容認いたしません」とした上で、トラブルの際には状況をヒアリングし、商品の再送や返品・交換の対応を取っているという。なお、これまでに置き配を実施しているエリアでは事件・事故はなかったとのこと。
Amazonは9月18日から、「Amazon Hubロッカー」を提携店舗や駅などに導入。19年中には200カ所の設置を目標に掲げる。既に導入を始めたファミリーマートでは、扱う宅配便のうち約8割がAmazonで購入されたものだという。
隆盛を迎えるEC市場の巨人であるAmazon。置き配の標準化やロッカーの普及が進めば、物流の流れは大きく変わりそうだ。
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