新登場の“あんぱん“はサブウェイを救う? 苦戦が続く原因から読み解く:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
サブウェイがあんこを挟んだサンドイッチで巻き返しを狙う。日本市場で苦戦している背景にはコンビニや外食チェーンの“野菜強化”がある。じわじわ増えているサラダボウル専門店も新たな脅威になりそうだ。
全国に229店(2019年9月30日時点)を展開するサンドイッチ専門店チェーン「サブウェイ」。13〜14年には500店近くにまで伸びたものの、5年ほどで半減。破たんするFC(フランチャイズ)経営店が出るほど苦戦しているが、その打開策として10月9日から全国発売されるのは、なんと“あんぱん”だ。
これまでのサブウェイは、主にランチの時間帯に野菜サンドを食べる店というイメージがあったが、あんぱんでディナーとの間のアイドルタイムを開拓して、下校中の学生や、主婦の井戸端会議の場にも活用してもらおうという趣旨と見受けられる。
具体的には午後2時以降限定で、あんこを挟んだ甘いサンドイッチ「あんこ&マスカルポーネ」(ドリンクSセット320円、単品170円、税抜・以下同)と、「つぶあん」(ドリンクSセット280円、単品130円)を提供する。サブウェイにしては低価格で、値段もこなれている。一部、販売しない店もある。
あんこ&マスカルポーネとつぶあんは、世界100カ国に4万4000店を展開するサブウェイでも、初の“甘いサンドイッチ”で、これまでのタブーを破った画期的な試みである。
カフェタイムやデザートの需要を開拓
あんこ&マスカルポーネは、北海道産の小豆をじっくり炊き上げたほど良い甘さのあんこと、高級感のあるクリーミーなマスカルポーネチーズの調和が楽しめる。一方のつぶあんは、小豆一粒一粒の食感をダイレクトに感じられる、シンプルなあんサンドである。サイズはレギュラーの半分ほどだ。
毎日お店で焼き上がるふわふわのパンのほのかな塩気に、あんとマスカルポーネチーズの“マリアージュ”が、どこか懐かしくて新しい仕上がりになっている。
日本サブウェイではこれを第1弾として、今後もカフェタイムや食後のデザート向けの甘いサンドイッチのラインアップを充実させる方針。ジャムパンやクリームパン、カレーパンなども登場しそうだ。
同社では、グアテマラ・パヤカル農園産アラビカ豆100%を丁寧に焙煎したホットコーヒーとのドリンクセットを推奨しており、上質なリフレッシュタイムを過ごしてほしいと呼びかけている。
これまでごく一部の店舗で実験的に出していたが、全国展開のめどが立ったと判断した。店内で焼き上げるしっとりした大判のクッキー(100円)も、チョコチャンクとホワイトチョコ&マカデミアの2種類を提供し始めている。
サブウェイは毎日店内でパンを焼き上げており、パンは5種類の中から選べる。また、サンドイッチアーチストと呼ばれるスタッフが、注文を受けてから顧客の好みに応じて挟んでくれる、ローストビーフ、えびアボガド、ローストチキンなどの具材と、たっぷりの野菜が売り。顧客一人一人に合わせたオーダーメイドスタイルで人気となり、世界最大規模の外食チェーンとなっている。
16年には、全てのサンドイッチメニューから、合成着色料、合成香料、化学調味料を排除しており、食の安全・安心を追求している。そうした取り組みが案外と知られていないのが残念だ。
また、“フレッシュフォワード”と呼ばれる、スタイリッシュですっきりしたデザインの店への改装を世界中で進めており、日本では6店の改装が完了した。
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