自治体がマンホールを販売 売り切れ続出 「インテリアやガーデニングに」 価格は3000円:秋田市や前橋市で
自治体によるマンホールの販売が広がっている。前橋市を皮切りに、秋田市や茅ヶ崎市、福井市などでも販売。各自治体に先駆けて2017年から販売する前橋市では、10件の販売に対して193件の応募があったことも。各自治体のPRを兼ねたマンホールカードなども人気を博している。
自治体で「マンホール」の販売が広がっている。
2017年に前橋市が販売したのを皮切りに、福井市、茅ヶ崎市(神奈川県)などでも販売。秋田市も18年に販売していたが、10月から2回目の販売を開始する。
第1回となる前回は、販売数量を10枚として9月18日〜10月12日まで受け付けたところ、22件の応募があった。そのうち4件は県外からの応募だったという。担当者によると、マンホールの耐用年数は車道に使われるもので15年、歩道に使われるものが30年ほど。交換や補修などで、毎年200枚ほどのマンホールが不要になっているという。不要になったものは鉄くずとして販売したり、廃棄したりしていた。しかし、17年に前橋市がマンホールを販売したニュースを受けて、秋田市でも販売することに。
今回は10月15〜25日に申し込みを受け付け、前回と同様に20枚の販売を予定している。価格は3000円(税込、以下同)。最も古いものでは、1987年製のものがあるという。使い方については「お部屋のインテリアやガーデニングの材料にいかがでしょうか」とコメントしている。
人気のマンホールカード
マンホール販売の火付け役となった前橋市は、17年から19年まで3年連続で販売。「前例がない」(担当者)という販売に踏み切った背景には、「マンホールカード」の存在があった。
マンホールカードは、地方公共団体によるカード型下水道広報パンフレット。日本下水道協会が組織し、下水道に関する情報発信を行う「下水道広報プラットホーム」が主催している。16年に第1弾を発行してから、現在では10弾までを数えるほどの人気ぶりだ。配布場所が限定されていたり、マンホールのデザインの説明が学べたりといった要素が人気を呼んでいるようだ。
前橋市では、このマンホールカードを16年12月から発行。予想を超える人気だったことから、年間100枚近く発生する不要なマンホールの販売を思い立った。17年に10枚を販売したところ、応募が193件も集まった。18年、19年も10枚を販売し、今年は121件の応募が集まった。こちらも販売価格は3000円。秋田市、前橋市とも「減価償却等を鑑みてこの価格にした」(両市の担当者)という。なお、前橋市は同価格で消火栓も販売している。
なぜ、ここまでマンホールは人気なのか。秋田市の担当者は「デザイン性が受けているのでは」と分析する。秋田市のマンホールは、地元の祭りとして知られる竿灯(かんとう)の柄が特徴。前橋市は、「市の花」であるバラが特徴となったデザインとなっている。18年に限定100枚を販売した茅ヶ崎市では、マンホールのデザインを印刷物やイベントで利用できるようにするなどの人気ぶりだ(利用するには、市に申請し、承認を受ける必要がある)。このように、マンホールは地域を生かしたデザインとなっていることが多い。
また、「アンティーク」としての価値もありそうだ。秋田市の販売するマンホールは、1980年代後半に製造された“30年物”が多い。前橋市で過去に売り出したものの中には、製造年代が分からないほどの「掘り出し物」もあったという。こうしたデザイン性やレトロ感が、コレクターの収集意欲をかきたてているのかもしれない。
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