Zホールディングス、証券業への参入意図なし AIの時代、個別銘柄を選ぶ人は増えない
SBIホールディングスとの提携を発表したZホールディングス。金融事業を重要テーマとして掲げるが、独自で証券業に参入する意図はないと話す。
ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)の川邊健太郎社長は、10日のSBIホールディングスとの提携発表にて、証券業への参入意図がないことを明らかにした。
「(個別銘柄の売買は)国内市場での勝負がSBIグループに決しつつある中で、対抗事業をやっていく必要があるのか。ほかのオンライン証券も大きいので、それらと組んで利便性を高めていったほうがいい」(川邊氏)
ZHDは、メディア、コマース、データに並ぶ、今後の成長を牽引する重要テーマとして金融を挙げている。金融事業を統括するZフィナンシャルを設立し、事業拡大を目指す。
証券業には、LINEが野村ホールディングスと組んで8月に参入するなど、スマホ時代を見据えて異業種からの参入が進んでいる(記事参照)。
それらと直接競合する事業に参入するよりも、異なる商品に勝機があると見る。「証券への参入は、ずっと議論は続けている。現時点での考えは、これから個別銘柄を人が判断して買っていくのが増えていくのか、AIを使った投資信託が増えるのかというと、後者だということ」(川邊氏)
背景には、ヤフーが運営する国内最大級の金融ファイナンスメディアであるYahoo!ファイナンスの存在がある。メディアとしての中立性を損なうことなく、さまざまな金融機関と連携していくことを示唆した。
「(ユーザーに)多くの金融サービスの選択肢を提供したい。中核はYahoo!ファイナンスというメディアにある。(今回の提携先であるSBIのサービスだけでなく)さまざまな金融機関のサービスも提供して、ユーザーにマッチするサービスを提供していきたい。多くの選択肢を示すことで中立だと思ってもらえる」(川邊氏)
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