「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か:お客の混乱を回避する狙い(2/3 ページ)
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。
イオンはどのように対処したのか
今回のセブンの対応について、財務省の担当者に話を聞いた。担当者によると、店頭で税込価格が表示されているので、特に問題はないという。ただ、レジでどのように計算するかというのは、各事業者に任されている。担当者は「あくまで一般論だが」と前置きしたうえで「消費者に混乱のないようにしてほしい」とコメントした。
では、今回のような混乱を避けるためには、どのような方法があり得たのだろうか。
イオンでは、3月から本体価格とともに、小数点以下も含めた税込価格を表示している。例えば、イオン葛西店(東京都江戸川区)のチラシを見ると、「ほうれんそう 本体価格158円、税込170.64円」と記載されている。イオンでは、セブンと同様に本体価格を先に足していって、最後に消費税をかける計算方法を採用している。お客は「この商品とこの商品を買ったら、1円増えることになりそうだ」ということが、購入する前に直感的に理解しやすくなる。イオンの広報担当者は「お客さまの混乱を避けるためにこの表記をしている」と説明する。
この方式は、イオン傘下のオリジン東秀でも導入されている。同社が運営する「キッチンオリジン」の店頭には、「おでん1個 本体価格65円、税込価格70.20円」と表記されている。公式Webサイトを見ても、同様の表記がされている。
お客に対して事前の説明を怠ったのが、セブンで混乱が起きた根本原因だ。現在、セブンの公式Webサイトには、計算方法の変更について、イラスト入りで非常に丁寧な解説ページが設けられている。これを、変更前に店舗に貼っておくべきだっただろう。また、セブンにはセブンの事情があったかもしれないが、イオンのように小数点以下も含めた税込み価格を表記していれば、お客の捉え方は違っていたかもしれない。
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