2015年7月27日以前の記事
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Libraを脅威と見る各国 それでも「ダメ」と言えない理由(3/3 ページ)

結局のところ、投機資産として使われる従来の仮想通貨に対し、Libraは本当に使われるかもしれない仮想通貨だ。だからこそ、各国の金融当局はLibraへの警戒を強めるが、Libraが解決しようとしている「皆のための安価、簡便な支払い決済、送金手段の提供」は現代の金融の根本課題でもある。

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中央銀行自体がブロックチェーンを使ったデジタル通貨を発行する可能性

 Libraは、現在の貨幣システムに根本的な課題を突きつけた。各国は先延ばしをしながらも、この問題を真剣に考えざるを得ない。

 では根本的な解決策として、中央銀行自体がデジタル通貨を発行するという可能性はあるのか。実際、中国はデジタル通貨の発行準備が整ったと発言しており、スウェーデンも法定仮想通貨である「e-クローナ」の開発を進めている。実現したら、非常に強いデジタル通貨になる可能性が高い。

 「一つの問題は強すぎることだ。すべての国民の決済履歴データを中央当局が持つことになる。税務当局がデータを見せろといったら見せるのか。これは強すぎるがゆえに難しい。スウェーデンもすべてのデータを持つことはないだろうし、中国の発言も牽制(けんせい)球ではないか」

 昨今、AMLおよびCFT、そしてKYC負担の重さなどを背景に、銀行が新興国の国際送金業務(コルレス業務)から撤退する動きが目立っている。そんな背景の中、Libraが掲げる「皆のための安価、簡便な支払い決済、送金手段の提供が必要」という主張自体は否定できない。

 現代の金融の持つ「金融包摂」というパンドラの箱を開けたLibra。ビットコインから始まった金融のイノベーションは、Libraで次のステージに上った。各国はこの問題に正面から向き合わざるを得なくなってきている。

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