【前編】食べログはなぜ何年も炎上し続けるのか?:専門家のイロメガネ(3/5 ページ)
たびたび炎上する食べログ。先日も、Twitter投稿を元に有料加盟とレビューの点数操作をめぐる疑惑が話題になっている。炎上が続く根本の原因としては、一番の理由は広告料の存在だ。口コミサイトを名乗りながら広告を売るというは矛盾が内包されている。
食べログは広告料を払うと上位表示される
16年にも、食べログは星の操作をした疑いをオーナーから投げ掛けられ、それがSNSで拡散したことにより大炎上した。その際も食べログの有料プラン(広告)を断ったら星の評価が下がったという、今回とまったく同じようなツイートをオーナーが書き込んだことが発端だ。筆者は当時もこのトラブルについて言及した(シェアーズカフェのブログ「なぜ食べログは炎上したのか? 」参照)。
食べログは09年から広告を販売しており、ユーザーがお店を探す際に上位表示するプランを販売している。ランチタイムやディナータイムなどはさらに上位に表示するプランもある。これはネット上でプランの内容から料金まで誰でも確認できる。
公表されている中で最も高額なプランは、10万円+消費税に従量課金となっている。従量課金額は食べログを経由した予約数によって決まり、来店人数にディナーならば200円、ランチならば100円をかけた金額となる。
食べログは口コミサイト? 宣伝サイト?
さて、これを読んでどう感じただろうか。広告にお金がかかること自体はなんらおかしくない。しかし食べログは、ユーザーの口コミが作り上げる口コミサイトであると認識されている。広告の販売開始からすでに10年経ったが、今でも表示順位に広告料が影響していることを知らない人は多数いるだろう。筆者の周りでも、広告料の存在を知らない人は何人もいた。
そして食べログは、原則として店舗が情報の削除を希望しても応じていない。レビューではなく店舗情報全体、ページ自体の話だ。16年には最高裁まで裁判で争って、店舗情報の削除を拒否したこともある(カカクコム側の勝訴)。隠れ家的に営業したい、常連客だけを相手にしたい、といった意向も無視して掲載される場合も珍しくない。
つまり食べログのビジネスモデルは一方的に店舗情報を利用してビジネスを行い、削除の拒否にも応じず、その上で飲食店側に判断の自由があるとはいえ、広告料まで取るケースもあるということだ。
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