2015年7月27日以前の記事
検索
連載

マツダのEVは何が新しいのか?(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)

東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 いずれにしても航続距離自慢ができるクルマではないが、このバッテリー容量は、クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果だという。要するに「誠実に考えればこうなるはずだ」とマツダはいっているのだ。


ライフサイクル全体で見たときに、バッテリーが小さいほどCO2排出量も小さくなる

 ディーゼルやハイブリッドの航続距離が長いモデルだと1500キロ。しかも数分の給油でまた1500キロ走れる。不得手を補うことは大事だが、かといって不利なジャンルで勝負を挑むのは頭が悪い。少なくとも環境的には、青天井にバッテリー容量を増やすことには正義があるようには思えない。だとすれば、航続距離についてはそこそこで手を打って、重量増加を可能な限り回避する選択肢はあり得るし、バッテリー容量の適正化で全体としての効率を取ろうというのがマツダの戦略だ。

 問題はこれがすこぶる分かりにくいことだ。普通のユーザーは「航続距離が短いじゃん」と言うだろう。なので全国のマツダファンは、嫌がる相手をまず座らせて、バッテリーの正義について小一時間講義を聞かせてやらねばならない。正しいが分かりにくいというのはいつものマツダらしいポイントである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る