「27年休暇ゼロ」「ドラッグストア怖い」 コンビニオーナーの苦しい実態が経産省の調査で明らかに:アンケートと聞き取り調査(1/2 ページ)
経産省がコンビニオーナーに対して大規模な調査を実施。調査結果からは過酷すぎる勤務実態が浮き彫りに。競合としてドラッグストアの存在を挙げるオーナーもいた。
経済産業省は「新たなコンビニのあり方検討会」を6月から定期的に開催している。これはコンビニが抱えている課題や今後の方向性を議論し、持続可能な成長をするために必要な方策などを検討する場である。
11月5日には3回目の会合が開催されたが、その場で提出された資料から、コンビニのオーナーが直面している深刻な課題がいくつも明らかになった。「オーナーアンケート調査」と「オーナーヒアリング調査」からその実態を明らかにしていく。
高齢化が進んでいる
まずは、オーナーアンケート調査を見てみよう。これは、8月5〜30日にかけて郵送アンケートの方式で行われたもので、3645人から回答を得た。
オーナーの年齢で最も多いのは「50歳以上60歳未満」(35%)で、「40歳以上50歳未満」(28%)、「60歳以上70歳未満」(21%)、「30歳以上40歳未満」(9%)、と続いている。「70歳以上」(4%)とあわせると、50歳以上が60%を占めている。
加盟年数で最も多いのは「10年以上20年未満」(33%)で、「20年以上」(26%)、「5年以上10年未満」(21%)と続く。コンビニが成熟産業になる中で、加盟年数が長い店舗が多くなり、結果的にオーナーの高齢化が進んでいるといえそうだ。
経営店舗数で最も多いのは「1店舗」(59%)で、「2店舗」(22%)、「3〜4店舗」(10%)、「5〜10店舗」(4%)と続く。一般的に、他店舗経営をするとオーナーの負担は軽くなるとされている。そのため、他店舗経営を推奨している大手チェーンもあるが、1店舗だけというオーナーはまだまだ多くいるようだ。
年収500万円未満が半数近い
オーナーの年収はどうなっているのだろうか。最も多いのは「250万円以上500万円未満」(32%)で、「500万円以上750万円未満」(25%)、「250万円未満」(15%)、「750万円以上1000万円未満」(13%)、「1000万円以上」(8%)と続く。年収500万円未満が全体の約50%を占めている。
1日の店頭対応時間で最も多いのは「6時間以上12時間未満」(50%)で、「12時間以上」(29%)、「6時間未満」(14%)と続く。「店頭対応していない」は5%だった。
週休の日数で最も多いのが「週1日未満」(66%)で、「週1日」(19%)、「週2日以上」(7%)と続く。
こうしてみると、週に1度休めるかどうかという状況で、自ら店頭に立ち続けるオーナーが少なくないことが容易に想像できる。
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