カメラ売り場をどかして酒の試飲カウンターを設置したビックカメラの狙い:気合が入りまくった運営(1/3 ページ)
ビックカメラの酒売り場に試飲カウンターがじわりと増えている。1日で数百人単位が利用するほどにぎわってる店もある。新宿西口店ではカメラ売り場をどかして酒売り場に変えた。
ビックカメラの酒売り場に試飲カウンターがじわりと増えている。2012年9月にオープンした「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」(東京・新宿)に初めて設置した。現在は、7店舗にまで拡大している(11月11日現在)。11月8日にオープンした「ビックカメラ 所沢駅店」にも試飲カウンターがある。他店で展開している試飲カウンターが好評なので、フロア中央に据えてある。
「ビックカメラ新宿西口店」は19年2月に店舗を改装した際、店の“顔”となる場所にあったカメラ売り場を別のフロアに移し、お酒売り場にした。そして、店内には多くのお客でにぎわう試飲カウンターがある。ビックカメラの狙いはどこにあるのか。実際にお店に行ってみた。
休日には300人以上が利用する
ビックカメラ新宿西口店はショッピングセンター「新宿西口ハルク」内の2〜7階で営業している。かつてカメラを販売していた2階の売り場面積は800平方メートル近くあり、約9000種類の酒やつまみが置いてある。ここまで大規模な酒売り場は、「ビックカメラ 藤沢店」(神奈川県藤沢市)くらいしかない。
10月の平日に新宿西口店を訪問してみた。店の中央には試飲カウンターがあり、午後3時にもかかわらず6人のお客が試飲していた。ソムリエやきき酒師の資格を持っている従業員がおり、接客しながら酒の知識を伝えている。
17席あるカウンターや、スタンディング形式の8個のテーブルなどで試飲できる。ちなみに、試飲コーナーがお客から好評だったため、改装当初と比べて席数を増やしているという。カウンターは午前10時オープンで、ラストオーダーは午後8時30分だ。
試飲できるお酒は約50種類。ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなど幅広くそろえている。あくまで試飲という位置付けなので、基本的に提供する量は限られている。ワインは1杯60ミリリットル、日本酒や焼酎は1杯30ミリリットル程度で、1人当たり3杯までだ。また、混雑状況にかかわらず30分を目安に席を譲るようお客に呼び掛けている。平日の利用者数は200〜230人、土日になると300〜350人に増える。同店はオフィス街にあるので、夕方を過ぎるとビジネスパーソンなどでにぎわうという。
テーブルの上にはメニュー表がある。日本酒のページを見ると「大関 極上の甘口」(税込100円)、「久保田 萬寿」(300円)、「黒龍 大吟醸」(500円)、「磯自慢 大吟醸」(1000円)などと記載されている。酒販担当の大宮友紀氏は「利益を得るための価格設定ではないので、サービス料はオンしていません。試飲した後に購入していただくのが目的です」と解説する。
試飲カウンターでは、おつまみも一緒に食べられる。店内で販売されているスナックや缶詰などをカウンター横のレジで精算する方式だ。缶詰をあたためてくれるサービスもある。
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