その不満、買い取ります 日々の“もやもや”を何でも買い取る「不満買取センター」が社会を変える?:集まる不満は1日1万件(2/3 ページ)
ユーザーから不満を買い取る「不満買取センター」。日々不満を投稿するユーザーは40万人を超え、1日1万件もの不満が集まる。商品に関するものから人間関係に関するものまで、幅広く買い取っているという。最近では、企業だけでなく、行政も活用し始めている。
「はい」と答えてしまうバイアス
また、企業がリサーチを行う際、どうしても質問形式を取ることが多い。ただ、質問に対して、人間は「はい」と答えてしまいがちになるのだという。これを「イエステンデンシ―」といい、せっかく客観的な情報が欲しいがためにリサーチしているのに、恣意的な情報が集まりやすくなってしまう。
そこで、不満買取センターでは「日々の不満を何でもいいので聞かせてほしい」(伊藤社長)というコンセプトを掲げている。「調査に答える」といった受動的なものでなく、日々の“もやもや”や「あったらいいのに何でないんだろう」と漠然と考えるような自発的、かつ潜在的なニーズをすくい取るのが狙いだ。「聞かれても忘れていて答えられないようなところに、本来のニーズはある」と伊藤社長は話す。
さらに、商品ごとに不満を募集するのでは“モニター感”が出てしまうという理由から、不満買取センターでは「食品」「人間関係」「仕事」など幅広いカテゴリを設定している。非常に広いジャンルで不満を投稿できることから、「気持ちの整理用」として、日記のように使っているユーザーもいるという。
企業はこうした不満を、「N1分析」に活用している。N1分析とは、「N=1」、つまり不特定多数のターゲットや架空のペルソナを決めてマーケティングを行うのではなく、実在する1人のユーザーを分析しながら戦略を組み立てていく手法だ。実際にデータを見てみると、これまで想定していたニーズと異なったものが明らかになったり、ほんのちょっとしたところに不満を感じていたりとリアルな声が浮かび上がる。
関連記事
- 『ジョーカー』が暴いた「アンチヒーロービジネス」―― 誰もが“都合の良い悪夢”に溺れる訳
大ヒット中の映画『ジョーカー』。筆者はそこに「アンチヒーロービジネス」の構図を見る。現状を変えずむしろガス抜きになっている点を指摘。 - ”着るこたつ”がワークマンから初登場 「価格破壊」を続ける理由を担当者に直撃
ワークマンが9月5日に秋冬商品の発表会を開催。今年の注目は”着るこたつ”。50度、45度、40度の3段階に温度調節でき、バッテリー付属。最大17時間持続する。昨年売り切れ店舗もあった「アルティメット」もリニューアルして登場。 - N国とれいわ新選組が操る「不安マーケティング」の正体とは
「N国」や「れいわ新選組」が選挙で躍進した。筆者はその根本にあるのが「不安マーケティング」だと分析。ビジネスでもはびこる「不安な庶民の利用」手法を斬る。 - 中国人の間で日本の「のり弁」が話題沸騰 SNS分析でその「意外な真相」を追う
中国人向けSNSで日本の「のり弁当」の投稿数が急増している。背景には日本人の知らない「不思議な事情」が。SNSと中国市場の分析から迫る。 - 「インスタ経験なし・50坪」から始まったうんこミュージアムが海を渡るまで
横浜で産声を上げたうんこミュージアムが、ついに海を渡った。2019年3月、横浜市にオープンしたうんこミュージアム。当初は7月までの期間限定だったが、好評を受けて会期を9月末まで延長した。公式発表によると、来場者数は30万人を突破。8月には「MAXうんこカワイイ」を掲げお台場に進出し、10月には中国、上海でもオープン。20年1月までの期間限定で展開している。快進撃を続けるうんこミュージアムは、どのように練り上げられたのか。仕掛け人に取材した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.