2週間で開業した「ロボットコンビニ」 無人店舗の“その先”をつくれるか:続々進む「無人」と「省人」 気になるお店の狙いを探る(3/3 ページ)
ロボットがいる無人コンビニ「ロボットマート」(東京・日本橋)。セルフレジや接客ロボットが設置されている店舗は、どのような空間なのだろうか。わずか2週間で開業にこぎ着けたという運営会社に、開業の狙いと展望を聞いた。
ロボットが集まる展示場に
一方、ロボットマートの最大の特徴は「ロボットがいる」こと。コンビニとしての機能だけでなく、「ここに来ればロボットを見て、知ることができる」という拠点にすることも大きな狙いだ。
「調べないとたどり着かないような業務用ロボットも、店に展示することで『こういうものがあるんだ』と知ってもらいたい」と吉田氏は話す。11月からは新しいロボットも登場し、現在は全4台が店内にいる。ペッパーのほか、もともとティッシュ配りをしていたロボット「モスペンくん」を“接客係”として採用したり、世界に数台しかない搭乗型ロボットを期間限定で展示したりと多彩だ。「12月までにはもっと増やしたい」と吉田氏は話す。
展示を増やすために、今後は大学や専門学校などの研究機関や企業への働きかけも強化していく。店舗をロボットのテストの場として使ってもらえるように提案するという。
2つの機能の両立で「差別化」を目指す
無人コンビニ、そしてロボットの展示場という機能を持たせたロボットマート。今後は多店舗展開も視野に入れている。その足掛かりとして、19年2月から、オフィス向けに「ロボットマートミニ」の展開を始めた。オフィス内に冷蔵庫や小さな商品棚を置き、50種類以上の商品を販売。商品を自動認識するセルフレジはないが、決済手段は店舗と同様だ。約30社が導入しているという。
ロボットマートはロボットの実験店という位置付けだが、「この店舗を増やすことができれば、コンビニを巡る問題の解決策にもなる」(吉田氏)。人手不足や業務負担の増加などに悩む店舗が多い中、1つの店舗の形として提案できるようにしていく方針だ。
セルフレジなどを設置して無人化・省人化を図る店舗が増えているが、「ロボットコンビニ」はその次の展開として位置付けられそうだ。ロボットマートが、「ロボットによる接客」という新しい価値を広めるきっかけになるかもしれない。「コンビニ業界の課題解決とロボット開発の支援。その2つを両立して、他のコンビニと差別化したい」(吉田氏)
関連記事
- JR赤羽駅のAI無人店舗を体験してみた
店舗で品物を取って出口に向かうと、自動で支払額が計算され、Suicaをタッチすれば支払いが終わる。そんな店舗が、JR赤羽駅にお目見えする。17日から2ヶ月間の実証実験中だ。 - 無人コンビニで、どんなモノが売れたのか 1年を振り返る
無人コンビニ「600」が、都内のオフィスでじわじわ増えている。キャッシュレスで商品を購入することができるわけだが、どんなモノが売れているのか。運営会社の社長に、自販機を設置して分かったことを聞いたところ……。 - 「無人コンビニ」は日本で誕生するのか 隠された論点に迫る
世界中で話題の「無人コンビニ」。日本でまだ本格展開していないのはなぜか。コンビニ各社や専門家に聞いた。 - 「変なホテル」総支配人が語る、完全無人化が不可能な理由
ロボット化を積極的に進める「変なホテル」。開業から2年経ったいま、どんなことが分かってきたのだろうか。「ロボットに任せられること」「人間にしかできないこと」は何か。変なホテルの総支配人に話を聞いた。 - 「ルンバ」は日本で普及するのか 「一家に1台」を目指す戦略とは
ロボット掃除機「ルンバ」で知られる米iRobot。日本におけるロボット掃除機出荷台数は300万台を超えたが、世帯普及率は4.5%にとどまる。日本市場のニーズに応じた「価格」「機能」を備えた新商品と戦略について、日本法人社長に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.