あなたのSNSも監視される? WhatsAppが訴えたサイバー企業の“不都合な実態”:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
世界で人気のメッセージングアプリ、WhatsAppを傘下に持つFacebookがイスラエルのサイバー企業を訴えている。世界各地でサイバー攻撃を仕掛け、多くの人を監視した疑惑がある。このようなスパイウェアを販売する企業は増え、知らないうちに市場は拡大している。
人類にとって、生活に欠かせない存在になりつつあるメッセージングアプリ。今、ちまたには数多くのスマートフォン用メッセージングアプリがある。
日本で圧倒的なシェアを誇るのは、言うまでもなくLINEだ。国内で8000万人が利用する超人気アプリである。その他、iPhoneの純正アプリであるiMessage、FacebookのMessenger、WhatsApp、Telegram、Viber、Signal、Wire、Wickrなどがある。
こうしたアプリのうち、いま世界的に最も人気があるのは、WhatsAppだ。現在180カ国で15億人が使っているこのアプリ、ユーザー数はまだ増加し続けているという。ちなみに、全世界で最もダウンロードされているアプリのランキングで第3位に位置する。
それほどパワフルなアプリとなったWhatsAppだが、今、親会社のFacebookがある企業を訴えており、特にセキュリティやインテリジェンス界隈(かいわい)で注目されている。
WhatsAppが訴訟を起こした相手企業は、イスラエルでサイバー武器(スパイシステムなど)を販売するメーカーのNSOグループである。この企業は、あまりに強力なシステムを開発していることで、大変な批判を浴びている。WhatsAppも、そのシステムをめぐって法的措置をとっているのだ。
Facebookが190億ドルで買収、パワフルな暗号化技術
本題に入る前に、そもそもWhatsAppはなぜ広く使われているのだろうか。その理由は、使うのが簡単で、安全という触れ込みだからだ。また最近主流になっている、メッセージを送信後に取り消す機能もある。
WhatsAppはもともと、元米Yahoo!の2人が2009年に立ち上げたアプリで、13年にはあっという間に2億ユーザーを超えるほどになり、今では世界で最も使われているメッセージングアプリになった。ちなみに2位はFacebookのMessengerで、3位は中国のWeChat。LINEは世界では8位に位置する。
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