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アクセスしたら乗っ取られる? 香港デモ“妨害”の中国サイバー攻撃「巧妙な手口」世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

「逃亡犯条例」改正案をきっかけとした香港の抗議活動が続いている。デモ隊が使うメッセージングアプリを中国当局がサイバー攻撃したことも判明。こういった中国の手口には、私たちも無関係ではない。国をまたいだデジタル戦に注意しておく必要がある。

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 香港政府が進めた「逃亡犯条例」改正案に反対するデモが始まったのは、6月のこと。この法案が成立すれば、当局は犯罪の容疑者を香港から中国本土に送還できることから、住民が反発して大規模なデモになった。デモ参加者が100万人を超える日もあったりと、騒ぎはずっと続いている。

 デモ参加者らは、SNSなどのメッセージングサービスを使ったり、オンラインの掲示板でやりとりをしているが、特に注目されているのが、スマートフォンのメッセージングアプリ「Telegram(テレグラム)」だ。多くの反政府デモ隊が使っていたことから、中国当局はデモのタイミングでテレグラムをDDos攻撃(大量のデータを送りつける妨害攻撃)していたことが判明している。デモ隊たちのコミュニケーションを妨害しようとしたのである。


香港のデモでは、中国当局によるサイバー攻撃も報じられた(写真:ロイター)

 テレグラムはロシア人兄弟が開発したメッセージングアプリで、やりとりなどが暗号化されるため安全だといわれている。世界でいま、月間2億人が使っており、香港でも7月にダウンロード数が激増している。最大2万人とグループチャットができ、登録者にメッセージをばらまくこともできる。デモ参加者には便利なツールだ。

 ちなみに日本でも、「なんだか安全らしいよ」という声が聞かれ、どんどん利用者が増えている。とはいえ、そもそもテレグラムは初期設定のままでは暗号化は不十分で、「シークレットチャット」を設定する必要がある。ただそれでも、MIT(マサチューセッツ工科大学)などの調べでは、実際にはそれほど安全ではないという。

 とにかく、香港のデモではメッセージングアプリなどが使われ、それが中国によるサイバー攻撃の対象になった。

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