連載
「サイバー脅威を分かってない」弱点だらけの日本企業に寄せられる、大きな期待:世界を読み解くニュース・サロン(1/6 ページ)
「脅威インテリジェンス」というサイバーセキュリティ対策が注目されている。サイバー大国・イスラエルの脅威インテリジェンス企業によると、「日本企業は本当の脅威を分かっていない」。同社が見る、日本企業の弱点と期待とは?
2018年9月、ロシア外相の名前をかたったロシア人サイバー犯罪者が、「ダーク(闇)ウェブ」の奥深くにあるフォーラム(掲示板)で、こんなメッセージをロシア語で掲載した。
「Zeusと似たような機能を持つトロイの木馬型マルウェア、Pandaに興味があります。ご存じの方がいましたら、現在市場で出回っている製品の種類を教えてください。ビルダーの購入あるいはレンタルを考えています」
このメッセージは難解に見えるが、要は「サイバー攻撃に使う『Panda』ツールを購入したい」ということになる。
「ダークウェブ」とは、私たちが普段使う通常のインターネットではアクセスできない地下のネットワークのことで、そこにアクセスするには、匿名で利用できる特別なブラウザが必要になる。18年から、そんな地下のフォーラムで、「Panda」と呼ばれるサイバー攻撃ツールが頻繁に話題に上がっていたという。しかもその動きを追うと、日本の名だたる大手企業を標的にしていたことも発見された。
これは日々世界中で発生しているサイバー攻撃の兆候が発見された一例にすぎない。ただ不思議なのは、誰が、どうやってこんな犯罪者の動向をつかむことができるのかということではないだろうか。実は、そのわけは「脅威インテリジェンス」という、最近台頭著しいサイバーセキュリティ対策にある。
関連記事
- スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。 - ファーウェイのスマホは“危険”なのか 「5G」到来で増す中国の脅威
米国が中国・ファーウェイの通信機器を使わないように友好国に要請していると報じられた。なぜファーウェイを排除しようとするのか。本当に「危険」なのか。その背景には、次世代移動通信「5G」時代到来によって増大する、中国の脅威があった。 - 「隠すことは何もない」? ネットの“のぞき見”、鈍感さに潜む危険
タクシーの配車アプリなど、ネット上のプライバシー問題が注目されている。この問題について「隠すことは何もないから気にしない」という主張が根強くあるが、本当にそれでいいのか。自分の情報を“見られる”ことの本当の問題とは? - 「米粒スパイチップ」だけじゃない 中国に“情報を盗まれる”恐怖
米大手企業に対する中国のハッキング疑惑が報じられ、話題になった。しかし、その手口はこれまでも世界中で行われてきたサイバー工作だ。中国があの手この手で実践してきた、ターゲットが気付かないうちに膨大な情報を盗み出す手法とは…… - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.