「サイバー脅威を分かってない」弱点だらけの日本企業に寄せられる、大きな期待:世界を読み解くニュース・サロン(2/6 ページ)
「脅威インテリジェンス」というサイバーセキュリティ対策が注目されている。サイバー大国・イスラエルの脅威インテリジェンス企業によると、「日本企業は本当の脅威を分かっていない」。同社が見る、日本企業の弱点と期待とは?
急拡大する「脅威インテリジェンス」市場
実はこのサイバー脅威インテリジェンスというサービスが聞かれるようになったのは、数年前のことだ。サイバーセキュリティ企業が、サイバー攻撃を事前に察知し、対策などのアドバイスを提供する。
脅威インテリジェンスの市場は、25年までに130億ドルを超えるとも言われている。さらに今後、5G(第5世代移動通信システム)の到来でさまざまなものがネットワークにつながれば、サイバー攻撃の脅威はさらに高まり、その需要は大きくなるとみられる。サイバー専門家の中には、この脅威インテリジェンスが、サイバーセキュリティ対策の新たな潮流の一つになっていると見る人も少なくない。今では、世界のみならず日本でも官民で導入が進みつつある。
この脅威インテリジェンスとは一体どういうものなのか。
そもそも脅威インテリジェンスとは、サイバー攻撃対策の一つであり、組織やその財産に危害を及ぼすような最近起きた攻撃や、今後起きる可能性がある攻撃の兆候について情報収集をして分析することを指す。脅威インテリジェンスの情報によって、組織は積極的なセキュリティ対策を行うことができ、データ流出を防ぎ、サイバー事案が起きた際の復旧作業などの金銭的コストをセーブできる。つまりは、事前に攻撃を把握して対策するための情報を収集するのだ。
近年では、米大手サイバーセキュリティ会社CrowdStrikeやレコーデッド・フューチャーといった有名企業が、脅威インテリジェンスを提供している。また、脅威インテリジェンスを得意とし、米IT誌『CIO Applications』でサイバーセキュリティ企業トップ25に選ばれた、シンガポール発で日本を拠点にしているサイファーマという企業もある。日本でもこの分野が注目されているのである。
最近、日本の当局や大手民間企業にも情報を提供しているイスラエルの脅威インテリジェンス企業であるKELA社の日本代表と話す機会があった。そして、脅威インテリジェンスの実態と日本をどう見ているのかについても聞いてみた。
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