あなたのSNSも監視される? WhatsAppが訴えたサイバー企業の“不都合な実態”:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
世界で人気のメッセージングアプリ、WhatsAppを傘下に持つFacebookがイスラエルのサイバー企業を訴えている。世界各地でサイバー攻撃を仕掛け、多くの人を監視した疑惑がある。このようなスパイウェアを販売する企業は増え、知らないうちに市場は拡大している。
NSOのクライアントは、基本的に国家の捜査当局や諜報機関などである。同社のシステムは世界各地で導入されており、例えば、イスラエル、メキシコ、パナマ、UAE、サウジアラビア、トルコ、バーレーン、イエメン、ウズベキスタン、ケニアなどが使っている。
NSOグループは、イスラエルのテルアビブに近いヘルツリーヤに本社を構えている。筆者はヘルツリーヤを訪れたことがある。海沿いに広がる新しい地域で、商業コンプレックスが数多くある街だ。イスラエル政府に近いサイバーセキュリティ関連の企業を訪れたのだが、セキュリティ系企業が数多くある地域でもある。
同社は、英公共放送BBCによれば、イスラエル軍でサイバー作戦を担う「8200部隊」の関係者による資金援助などで立ち上がった。NSOが提供するのは、「ペガサス」と呼ばれる強力な監視システムだ。国家が相手のビジネスだけに、多額の導入費用がかかる。システムの設置費だけで50万ドルかかり、監視ターゲットごとに料金が加算されるという。スマホなら、1人監視すれば「6万5000ドル+維持費」ほどとも言われている。暴露されているケースでは、メキシコはペガサスに約8000万ドルを支払っているという。
NSOグループは、自社のシステムを売却する相手を厳格に審査していると主張。同社の方針では、契約時には監視対象をテロ集団や犯罪組織に限るよう約束している。
同社のシステムを導入した国は、国内の犯罪者やテロリストなどの捜査に対して、効果的に使っている。ところが、少し前から、あまりにも強力なツールのため、各地で外交官やジャーナリスト、政府高官などがペガサスのターゲットにされているとの批判が噴出している。同社は関連を完全に否定しているが、18年10月にトルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館内で殺されたとみられているサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏も、NSOのシステムを導入したサウジ当局によってその行動を監視されていたと指摘されている。
こうした監視ソフトを販売しているのは、NSOだけではない。イスラエルには他にもいくつか、スパイウェアを販売する企業が存在する。
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