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ヤリスの向こうに見える福祉車両新時代池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/7 ページ)

還暦もそう遠くない筆者の回りでは、いまや最大関心事が親の介護だ。生活からクルマ消えた場合、高齢者はクルマのない新たな生活パターンを構築することができない。そこで活躍するのが、介護車両だ。トヨタは、ウェルキャブシリーズと名付けた介護車両のシリーズをラインアップしていた。そしてTNGA以降、介護車両へのコンバートに必要な構造要素はクルマの基礎設計に織り込まれている。

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 操作アクション全体を通して見ると、まずはスライドをワンタッチで回転位置にセットし、そのアクションによってポップアップして現れる回転レバーを一度引く。手を離してシートを回すと、足先がサイドシルを越えた所で一度止まる。そこで両足をさばいて地面に付け、もう一度レバーを引くとシート全体が車両の外へ出ながらチルトする。そこから立ち上がるにはもうほとんど筋力を要さない。

 しかもこれだけの仕掛けを、シート座面高を変えずにシート下に収納し、スライド幅もノーマルシートと全く変わらない25センチを維持した。さすがにクッション圧は削られているが、その分はクッション材で補完してあるという。開発者の熱意が伝わるではないか。

 そして車椅子用のリフトだ。こちらが面白いのは、車両側への改造がいらないことだ。変形パンタグラフ式の電動リフトは、前端のみシート回りのアンカーに固定されており、後ろ側は置いてあるだけ。動作中も走行中も自重で常に下へ向かって力が掛かっているので、無理して改造して固定する必要がない。だから後付も取り外しも可能だ。重量があるので、日々付け外すというわけにはいかないが、ディーラーに行けばいつでも追加できるしノーマル車両に戻せる。


折りたたんだリヤシート部分を利用して、車椅子を収容する

つり下げと異なり、ぐらつかないパンタグラフ機構によって、電動スイッチのみの操作で上げ下ろしできる

車椅子を持ち上げる必要もなく、前端を持ち上げてバーに引っかけ、ロックで固定するワンタッチ機構

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