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元カノが子宮頸がんになった過去……ホリエモンがハヤカワ五味と語る「予防医療と検診の必要性」堀江貴文が語る「予防医療」【前編】(1/5 ページ)

ホリエモンこと堀江貴文氏と、女性ファッションデザイナーで実業家のウツワ社長ハヤカワ五味氏が対談。見えないニーズを掘り起こし革新的なビジネスモデルを築いてきた異端の起業家2人が今、最も注目しているのが「予防医療」の分野だ。社会課題を解決し、将来的な顧客をどのように育てていく術があるのか、2人の起業家の対談からヒントを得たい。前編は防げる病である子宮頸がんや大腸がんの現状について思うところを語ってもらった。

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 9月24日、東京都港区のDMM本社で、一般社団法人予防医療普及協会「予防医療オンラインサロンYOBO-LABO」の会員限定トークイベントが子宮頸がんの予防と検診をテーマに開催された。

 協会の理事を務めるホリエモンこと堀江貴文氏と、女性ファッションデザイナーで実業家の株式会社ウツワ代表取締役社長ハヤカワ五味氏が対談。子宮頸がん検診でがんの前段階である「中等度異形成」の診断を受けた経験があると明かすハヤカワ氏と、以前付き合っていた彼女が子宮頸がんと診断されたと話す堀江氏が、予防と検診の必要性について考えた。

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予防医療の普及など世間がまだ注目していない領域に可能性を見いだしてきた堀江貴文氏と、生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元的にできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開しているハヤカワ五味氏(右)

 堀江氏はインターネットが普及し始めた黎明(れいめい)期に、いち早くWebサイト制作・管理運営を行う会社を興して注目を集め、その後も宇宙事業や予防医療の普及など世間がまだ注目していない領域にビジネスの可能性を見いだしてきた。

 一方のハヤカワ氏は18歳のときに「課題解決型アパレルブランド」を運営する株式会社ウツワを立ち上げ、女子大生経営者として注目されてきた。大学入学後に「胸が小さい人向けのかわいいブラがない」という問題意識から潜在的な需要を察知し、小さい胸を「シンデレラバスト」と呼ぶ、華奢(きゃしゃ)な女性向けのランジェリーブランド「feast」をヒットさせたのだ。そしてハヤカワ氏は現在、日本の性教育の現状に課題を感じていて、生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元的にできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開している。

 見えないニーズを掘り起こし革新的なビジネスモデルを築いてきた異端の起業家2人が今、最も注目しているのが「予防医療」の分野だ。社会課題を解決し、将来的な顧客をどのように育てていく術があるのか、2人の起業家の対談からヒントを得たい。前編は防げる病である子宮頸がんや大腸がんの現状について思うところを語ってもらった。

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堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数(以下、撮影:山本宏樹)
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ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)1995生まれ。東京出身、多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役社長。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を受験の傍ら行う。大学入学直後にワンピースなどのGOMI HAYAKAWA、2014年8月には妹ブランドにあたるランジェリーブランドfeast、17年10月にはワンピースブランドダブルチャカを立ち上げ、Eコマースを主として販売を続ける。複数回に渡るポップアップショップの後、18年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗LAVISHOPを出店。19年からは生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元的にできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開している

なぜ検査に行かない人が多いのか

ハヤカワ: 今回、予防医療普及協会のトークショーに参加できてよかったです。予防医療は、私も今、最も注目しているジャンルです。

堀江: 予防医療は話題になってきていると思います。僕らは少額のオンラインサロンの会員費や、検査キットの販売、本の印税などで細々(ほそぼそ)とやっています。製薬企業の協賛などを集めると、癒着じゃないかといわれることがありますから。

ハヤカワ: その辺りが難しいですよね。私は子宮頸がんにこの1年ほど注目をしています。どうしても子宮頸がんワクチンに対して、風向きが悪いというか。

堀江: 風向きが悪いのは、日本だけですけどね。

ハヤカワ: そうですよね。その点も含めて、ワクチンだけを推奨するのは難しいなと思っています。個人的には推奨したいと思っていますが、せめて子宮頸がんの検査に行ってほしい気持ちがありますね。

堀江: 僕は検査をしたことがないですけど、検査は精神的に大変ではないですか。

ハヤカワ: 確かに大変ではあります。でも私自身は一度、子宮頸がんの検診で引っかかって、精密検査をしたことがあります。(がんの前段階である)「中等度異形成」と診断されましたが、経過観察で今は異常なしに戻りました。

 検査に対して抵抗がある方はいると思います。子宮頸がんは基本的にがん化する前に見つかるので、女性の中には「がんが見つかるのが怖い」という理由で検査に行かない人もいるんですよ。

堀江: 女性の検診にかかわらず、検査で病気の疑いがあるのに診察に行かない人はいます。例えばうちのおじいちゃん。大腸がんで亡くなりましたが、便潜血検査で陽性が出て、しかもがんサバイバーなのに病院に行きませんでした。

ハヤカワ: そうだったんですね。

堀江: そうなんです。70歳くらいのときに膀胱がんになったんですよ。膀胱を全摘出して、人工膀胱になっていました。さすがにがんサバイバーなので、家族は毎年「検査には行け」と言いますよね。本人はあまり気にしていませんでしたが。それで検査に行って、便潜血検査で陽性が出たのに、精密検査を受けに行かないんですよ。

ハヤカワ: 結果が出ているのに。

堀江: 大腸がんも子宮頸がんと一緒です。ポリープができて、ポリープががん化していきます。

ハヤカワ: がんの手前で見つけられるということですか。

堀江: そう。大腸内視鏡検査を受けて、その場でポリープが見つかったら日帰り検査で切って、その日だけお酒が飲めないくらいで治療は終わります。まったく痛くもないですよ。便潜血検査は検便です。普通の健康診断にもあるので、やっている人は多いでしょう。ところが、陽性が出ても病院に行かない人が結構います。

ハヤカワ: どうしたらいいですかね。

堀江: 同い年の友達とたまたま飲んでいる時に、僕が予防医療の活動を始めたことを話したら、友達は「検査に行ってみようかな」と思ったらしいです。それで検査を受けたら大腸がんが見つかりました。

 最初ステージ3だと言われて、緊急手術みたいになって腹腔鏡手術という大掛かりな手術をしました。皮1枚でステージ1でした。彼は5年間で再発しなければいいと言われています。それから3年くらい経っているので、あと2年くらいですね。おじいちゃんもそうでしたが、大腸がんはそのままにしていると肝臓や肺に転移しやすいんですよ。

ハヤカワ: がんはその場所だけでおさまるわけじゃないんですね。転移は怖いです。

堀江: 肺に転移して、その後、脳に転移することもあります。おじいちゃんは見つかったときには既に手遅れでした。大腸がんが肺に転移していて、大腸は治ったけれども、肺がんが悪化して、その後2年くらいで亡くなりました。

 「病院に行かない問題」では、さっきハヤカワさんが話していたように、「怖い」と言う人が結構多いですよ。見つかるのが怖い。

ハヤカワ: だからこそ見つかっても大丈夫というか、むしろ見つかることで、少なくとも子宮頸がんに関しては対策のやりようがあると伝えたいですね。

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