藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
さて、第7世代は高いか安いか、そしてマツダの戦略は大失敗なのかについて、筆者なりの考えをまとめておこう。
いまやCセグメントの価格は300万円が普通になりつつある。だからこそ、今や売れ筋は200万円で買えるBセグに移りつつある。「クルマに払うのは200万円くらい」という人にとっては高くなった実感は確かにあるだろう。
しかし世界はクルマの安全性や環境性能により高い水準を求めつつあり、それらの機能がタダで追加できない以上、車両価格は上がる。むしろマツダの場合、ブランド価値にうぬぼれられない自覚があるから、そういう見えにくい機能の向上についてただお金を取れるとは考えなかった。だからその分、静粛性の向上、オーディオ音質の向上、インテリアの質感向上の3つで埋め合わせる努力をした。そこを全部無視して金額だけで高いというなら、中身とのバランスはどうでもいい絶対価格だけの話になるのではないか?
そして、戦略の成否だが、これは非常に難しかった部分についてうまくいきつつある。ただし、限られた範囲とはいえ、商品の価値に対しての値段ではなく、絶対価格勝負のマーケットがあり、その影響で台数を減らしている。そのための出口は、再度値引きを始めることではないだろう。価値を評価してくれる人に対してしっかり訴求していくこと、つまりマツダの価値を認める層を増やし、そこで買ってもらうことだと思う。
→インタビュー第2弾 藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください
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