藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください:池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)
マツダの藤原清志副社長のインタビュー、第2弾はラージプラットフォーム投入が遅れる理由だ。なぜマツダが直6エンジンを使った新らしいラージプラットフォームを開発するのかを振り返り、その遅れの理由、そして遅れたことで空く穴をどう塞ぐのかを解説する。
この世代の主要な差を箇条書きにしてみよう。
- 圧倒的なシートの差と、それを担保するボディの力の伝わり方のコントロール
- 圧倒的な静粛性の差
- 内外装の質感の差
- 圧倒的なオーディオの差
この中で後ろの3つはできるかもしれない。それは大変な作業だと思うが、例えば音が漏れる隙間を徹底的になくし、かつ吸音材を内装に用いることはできる。外装はともかく、インテリアの大幅なデザイン変更はアテンザでも一度やっている。オーディオはエンクロージャーを取り付けるスペースにあるものをどうやってどかせて更地にするかが問題だが、まあできないことではないだろう。しかし、ボディの環状構造強化や補強材の追加、対角線での剛性向上といった根源的な部分はどうするつもりなのか?
「環状構造も見直します。やるしかないんです」
絶句した。それはもう年次変更の範囲ではない。シャシーをキャリーオーバーしたフルモデルチェンジではないか。第7世代の開発と並行しながらそれをやるというのか?
このインタビューの数日後、筆者は箱根の十国峠で行われたMAZDA3 SKYACTIV-Xの試乗会に出掛け、多くのエンジニアと話をした。「藤原さんが環状構造から全部見直すって言ってましたよ」という言葉に全員笑顔が凍り付いていた。もう頑張るしかない。MAZDA3で新しいマツダの水準を示してしまった以上、より高額なクルマを買うユーザーを裏切らないためには、無理でも槍(やり)でも飛躍的な年次改良を続けていかなくてはならない。マツダのエンジニアの皆さんには本当に大変なことだが是非頑張っていただきたい。
さて、以上で藤原副社長のインタビューに基づく解説記事は終わりである。明日から3日間はできる限り生の声をお届けするべく、インタビュー全文をお届けしようと思っている。とは言え、口語はそのままでは冗長だし、オフレコと断っての発言もある。だから当然編集はするが、テーマに沿っての切り貼りはしない。実際の会話に沿って話は前後もするが、そこから感じられる藤原副社長のスピリットをお届けしたいのだ。
余談だが、MAZDA3 SKYACTIV-Xの記事は今のところ12月9日の掲載予定である。
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