CASEは「独自部分だけでも、クルマ1台分の開発費がかかってます」 マツダ藤原副社長インタビュー(1):池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
前のマツダコネクトで大変失敗しましたので
藤原 だけど、やらなくちゃいけないので、例えば今回のマツダコネクト2なんていうのは、前のマツダコネクトで大変失敗しましたので。
池田 (笑)
藤原 あれはあれでやっていてよかったなと思うのは、やらなくちゃならないことを相当理解したんですね。ソフトウェアの中がもうスパゲティ状態になっているやつを、1つずつ解いていくという、きれいにしていく活動もやってきたので。
池田 あれ、どっか変わったところで作りましたよね? 東欧のどこでしたっけ。
藤原 あの当時、一緒に開発してくれる人がいなかったんですよ。13年に出したもんですから、10年、9年くらいから始めたんですけど、「コネクティビティを一緒にやってください」って言っても、誰もこういう未来になると思っていないので、助けてくれる人がいなかったんです。当時の感覚としてはそれをやるっていうことは、ナビゲーションだとかその他の領域のアフターマーケット需要を自分でなくすことでもあるんですよね。
で、唯一引き受けてくれたのが北米の会社で、実際作るのがハンガリー。そういう状態だったんです。そこも最終的には買収買収でM&Aがあって、ビステオンになっちゃうわけですけどね。そのときにすごく勉強したので、今回はちゃんとやろうと。油断して掛かると後で大変なことが起きるので、しっかりとしたCPUの容量も持たなくちゃいけないしっていうんで、いろいろなことを検討した結果、今のマツダコネクト2は、トヨタさんと一緒にやらしてくださいということでお願いして、電気自動車や電気系の方も入っていただいて。やってみると、実は80数パーセントはトヨタさんのシステムと一緒なんですよ。共通なんですね。で、残り十何パーセントは、GUIとかその他のグラフィックとかにはブランドと関わる部分もあるので。
池田 今の80数パーセント一緒のところ書いていいんですか?
藤原 いや、どうかな。これは多分言ってないからね。多分カットでしょうね。あ、言ったか。言ったな。中計(中期経営計画)で言っちゃったよ、俺(笑)。
池田 じゃあ。
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