中小液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)は11月27日、約5億7800万円を着服したとして懲戒解雇した元従業員から、「着服とは別に、過去の決算で不適切な会計処理を行っていた」との通知があったと発表した。元従業員は「不適切な会計処理を行ったのは、経営陣の指示があったため」と主張しており、同社は事実関係の調査を進めているという。
ジャパンディスプレイは、日立製作所、ソニー、東芝のディスプレイ事業を統合したパネルメーカー。業績低迷が続いており、2019年6月にはモバイル事業を縮小し、一部工場の閉鎖や一時稼働停止を行うと発表。国内で1200人の希望退職者を募集し、執行体制も刷新した。当時社長を務めていた月崎義幸氏(※崎はたつさき)は9月30日付で辞任している。
同社の発表によれば、元従業員は管理部門に所属し、14年7月から18年10月にかけて取引実態のない会社への不正送金などを行い、約5億7800万円を着服していたという。これを受けジャパンディスプレイは、元従業員を18年12月に懲戒解雇するとともに、刑事告訴している。
元従業員による着服行為があったことは、19年11月21日にプレスリリースで発表。公表時期については、「警察とも相談の上で捜査への支障がないと判断されたタイミングで公表を行うことを検討していた」(ジャパンディスプレイ)とコメントしている
元従業員から受けた通知について、同社は「当社としては、元従業員を懲戒解雇してから決算については入念な精査を実施しており、適切な会計処理が行われてきたと考えている」とした上で「監査法人とも協議の上、事実関係の調査を開始している」とコメント。今後は外部の専門家による調査も行い、結果は判明し次第公表するとしている。
「当社は、コンプライアンスの強化に向けた取り組みをより一層徹底するとともに、皆さまの信頼回復に向け、全力で取り組んでいく」(ジャパンディスプレイ)
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