JR東日本は11月29日、10月に上陸した台風19号の被害額を発表した。運転見合わせや本数制限により運輸収入が約160億円減少し、鉄道施設の復旧には約170億円かかる見込み。ただし、現時点では千曲川の氾濫などにより冠水した長野新幹線車両センターの復旧費用が算定できていないため、通期業績予想の修正は影響額の全体を把握してから行うとした。
長野新幹線車両センターについては、同センターを保有する鉄道建設・運輸施設整備支援機構と復旧方針や浸水対策について検討を進めている段階という。同じく浸水被害を受けたE7系8編成の新幹線車両は廃車となり、復旧費用と合わせて大部分を特別損失として計上する計画だ。
台風19号は10月12日に日本に上陸。各地で記録的な大雨となり、洪水や土砂崩れ、河川の決壊などの被害が相次いだ。JR東日本をはじめ鉄道各社は12日から13日にかけて計画運休を実施していたが、台風通過後も復旧作業などの関係で運休したり運行本数を制限したりする路線が出ていた。
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