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重度障害で寝たきりでも働ける「分身ロボットカフェ」――親友の死、引きこもりの苦悩を乗り越えた吉藤オリィが描く「孤独にならない社会」障害とは「テクノロジーの敗北」(3/5 ページ)

ロボットが接客して、注文を取り、コーヒーを運ぶ。それだけでなく客と雑談し、メールアドレスの交換もしている。東京・大手町でオープンした「分身ロボットカフェ DAWN ver.β2.0」でのことだ。ロボットを動かすのは遠く離れた場所で寝たきりで生活する、重い障害のある人をはじめとした外出困難な人たちで、2020年までの常設化を目指している。オリィ研究所所長の吉藤オリィさんに、分身ロボットカフェのプロジェクトが未来をどのように変えていくのか聞いた。

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学校に行けず3年半ひきこもりに 開発の原動力は「孤独をなくすこと」

 吉藤さんは高校時代からさまざまな発明に関わっている。04年には電動車椅子の新機構の発明で、高校生科学技術チャレンジで文部科学大臣賞を受賞。翌年に米国で開催されたインテル国際学生科学技術フェアに日本代表として出場し、グランドアワード3位に輝いた。

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吉藤オリィさんと小型ロボットのOriHime

 詫間電波工業高等専門学校で人工知能を学んだあと、早稲田大学創造理工学部に進学して、OriHimeを開発する。 きっかけは、11歳から14歳まで療養のために不登校だった自らの体験にあった。

 「3年半学校に行けずに、引きこもっていたときは、本当に何もしていませんでした。むしろ家族に迷惑を掛けていたと思いますし、プリントを持ってきてくれる学校の友達にも申し訳なかった。何かをしてもらうのもつらいし、そのうち友達も来なくなり、何もしてくれなくなるのもつらい。全てがつらい状態で、生きるのがつらかった。

 われわれもいつかは体が動かなくなります。頑張って生き延びて75歳を超えたときに、人は健康寿命を迎えます。それから先、天井を見続けながら惜しまれることもなく死んでいくのは、あまりにもつらいと思いました」

 その後発明を始めて、出会ったのが番田さんやALSの患者だった。どうしたら人生の最後まで孤独にならずに過ごせるかと考えたのが、開発の原点だったと吉藤さんは話す。

 「ALSの患者さんは、人工呼吸器をつけるかつけないかを選択するときに、つけないことを選択する人が少なくありません。これから先、何もできないと思うからです。なぜそう思うのか。それは体が動かなくなったときのロールモデルが足りていないからではないでしょうか。

 日本は長寿大国ですが、最後まで自分らしく生きているかどうかに疑問があります。でもその先に、ロールモデルがあれば変わってきます。私は寝たきりの方を患者ではなくて寝たきりの『先輩』と表現しています。外出困難な先輩たちと一緒に、どうすれば死ぬ瞬間まで楽しく、一人で孤独にならずに、仲間と出会いがあって、必要とされながら死んでいく終わり方をできるだろうか。

 その答えを見つけるための研究がOriHimeであり、ロボットカフェです」

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