第7世代への要望を不躾に言ってみる マツダ藤原副社長インタビュー(5):池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
ちょっとここからは話が変わって、第7世代のMAZDA3とCX-30に乗って感じたことについて、藤原さんにお伺いする。ADAS(先進運転支援システム)、ステアリングアシスト、そしてマツダコネクトについて。
ADASはドングリの背比べから取り残された?
池田 ちょっと前まで、メーカーみんな横並びだったんですよ。だけどここ1年くらいで、ドングリの背比べを抜け出して、上手いメーカーが出てきちゃったんです。マツダは今、ちょっとそれに取り残されていて、例えばクルコン(前車追従型クルーズコントロール)は、直前にクルマが入ってきたり、出てったりしたときの躍度(加・加速度)がちょっと高いんですよ。
藤原 どんな感じですか?
池田 自分で踏んでいるときだったら気にならない躍度でも、クルマに勝手にやられると、嫌じゃないですか。そこは多分、ドライバーの操作とクルコンの操作では許容値が違うんじゃないかなと。それと、ブレーキも制動開始までちょっと引っ張るんですよね。「おーっ大丈夫か?」て思ってから、かかるんですよ。いや確かに制動距離は足りているんです。距離的には遅いわけじゃない。気持ちの問題です。でも、ゆるやかな減速をもうちょっと手前で軽くかけ始めてくれれば「あ、ちゃんとクルマは状況をつかんでるな」と安心できるんです。こういうのは人間が操作するときとは違うと思うんですよね。機械がやることだから、認識してますよって伝えるクルマと人のコミュニケーションは大事です。
藤原 あー、先に信号を出さな、いかんな。
池田 そうなんです。そこは多分もう藤原さんには言っていることが……。
藤原 いや、分かります、分かります。はい、分かりました。
池田 反応が無いと信用できなくなっちゃう。
藤原 ちょっと頭で仕事をしているやつが多くて、体で仕事をしているやつが少なくなっている感じがするんで、そこは今ちょっと注意しているところです。そこはすぐ直させます。彼らは、頭で考えると、正しいことを言っているはずなんです。人間中心だ、こうなるべきだって言っているんですけど、さっき言われたように、(機械に)任せている限り、先に信号を出してOKっていうのを(運転手に)伝えてやるべきってあたりは、多分体でやっている連中から出てくる話なんですけど、それが多分うまくリンクしてないんです。だから、そこを今、注意しているとこなんですけど、分かりました。ありがとうございます。そこは直します。
池田 で、ステアリングアシスト。マツダではCTS(クルージング&トラフィック・サポート)っていうんでしたっけ? あれも、ちょっと基本が左に寄りすぎるんですよね。あれは多分、道路って左側のラインのほうが鮮明だから左見ちゃうのかもしれないんですけど、センターが取れない。ときどき、嫌だなと思うぐらい寄っちゃうんですよ。手放し運転をするわけじゃないですが、左に行こう行こうとするクルマを引き戻し続けなければならないんだと、何のためのアシストか分かりません。これは何とかしてほしいなと。
藤原 これも多分ロジックですね。頭がやってんですよね。だから、そっちのほうがってやっているんですよ。だから、それは多分、走ってみて体で感じているやつが少ないんでしょうね。感じる能力はあるはずなんですよ、うちのあのメンバーだと。はい、すいません。
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