「日本の自動車生産を維持している自負はある」 マツダ藤原副社長インタビュー(6):池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
「らしさ」がないところはブランドが作れない
池田 世の中の高額商品って、絶対「ヨコシマ成分」が入っているんですよね。そのヨコシマ成分を全部抜いちゃうのはよくなくて、そういう意味では、第7世代のヨコシマ部分は今、デザインが担保している感じもするんですよ。ただ、藤原さんが気にされているところは、エンジニアリング部分でもヨコシマが足りないんじゃないかってことですよね? 端的にいえばすげえ速えーよとか、マフラーからいい音がしてさ、みたいな。
藤原 ねっ(笑)。
池田 まあクルマには法律とか社会とかいろんな制約があるから、できることとできないことがあるんですけど、ただ、そもそもヨコシマって非合理なものなので、それを今のマツダの論理的なクルマ作りにどう織り込むかっていうのは、結構大変な、いうなれば哲学的な(笑)、テーマに突入してますよね。
藤原 まあ、なるんですけどね。でも、今、指示をしているのは、われわれの新しいオーディオも、1人の場合と、全席って2つモードがあるよねと。クルマに乗るときに、1人で乗っているときと何人かで乗っているときって違うよねと。それって求めるものが複数あるんじゃないの? っていうことも言っているんですよ。
池田 そう言われると、それは本当にそのとおりです。この間、ヤリスの試乗会に行ってだいぶ驚きました。いわゆる操作系のフィールを統一して整えてきたんですよ。ベルカーブ的にリニアで正確でっていうことを相当やってきたんですが、ブレーキだけちょっと違うんです。ブレーキは若干オーバーサーボが残っている。ただし、これは良いとも悪いともいえないと。私個人の評価だったら、絶対MAZDA3みたいなリニアなブレーキを推すわけですよ、ああなるべきだと。実はMAZDA3に乗って、生まれて初めてブレーキ踏むのが楽しみだったんです。郊外のバイパスとかでちょっと信号赤にならないかなって。
藤原 (笑)
池田 この速度から信号赤になったときに、キレイな減速コントロールを楽しみたいなみたいな。そんなのは、特殊なスポーツカーを除けば初めてですよ。それぐらいブレーキが面白かったんです。
藤原 今の書いてくださいね(笑)。ブレーキのエンジニアは、もう涙流して喜ぶと思うわ、今のは。
池田 書きます、書きます。ホントのことだから。
藤原 (笑)
池田 ところが、ヤリスはそうなってない。ブレーキだけリニアではないっていうと、トヨタの人たちはまじめだから、ものすごいメモ取りながら聞くわけですよ。で、もうちょっと深く質問してきて、当然MAZDA3のブレーキの話になって。ただ、これを国内で4割もシェアを持っているトヨタがやったら、「ブレーキが効かない」っていう苦情が山のように出てきますよ。実際は効かないんじゃなくて踏力に比例させているんだから、踏めばもっと効くわけですけど、普通のドライバーは、その「踏む」の基準がオーバーサーボのブレーキになってしまっている。だからいつものつもりでは踏力が足りなくなりますよね。
藤原 (笑)
池田 だから、そこは難しいですね。ただ、トヨタらしさっていうことでは、実はこれから2種類に分かれるんじゃないかと。これからEVの時代に向けてトヨタらしさをどうやって作ってくのか。ジャガーとかポルシェとかが、もうそれぞれのメーカーらしいEVを作って、マツダも今回MX-30でそれを作った。これから先、EV化していけばEV化していくほど、そのブランドらしい走りっていうのが必要になってくるんですね。
藤原 そうなってきます。
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ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
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