「日本の自動車生産を維持している自負はある」 マツダ藤原副社長インタビュー(6):池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
ミネラルウォーターみたいなのが欲しい
池田 中井さんといえば、MAZDA3の時はいまひとつだったディーゼルエンジンの初期応答が、CX-30では見事に直ってましたね。
藤原 あれは池田さんが書くから(笑)。もう意地で直してましたよ。
池田 いや、こんな短期間で直るものなの? って思いましたけど、すごい大変だったんじゃないですか。
藤原 いや、大変だったと思いますよ。でも、私も知らなかったんです。乗ってみて何かすごい良くなったんだけどって中井に聞いたら、「いや、エンジニアが意地になって直してました。池田さんに絶対に負けたくなかった」とか言って(笑)。
池田 いや、びっくりしました。
藤原 いいんですよ、池田さんみたいに厳しいことを書いてもらうと、みんな頑張ろうとして直っていくんで、今回ご指摘いただいたADASとかマツダコネクトも直そうと思って。
池田 (笑)。クルマってつくづく微妙のモノだなと思います。第6世代のときは、なかったとはいいませんけど、あそこまでは気にならなかったのに、他がグッとレベルが上がると、一気にそれが気になるんですよね。
藤原 だから、自分たちでハードルを上げているんですよ。改良していくと、今まで隠れていたのが全部出てきて、またそれをたたきにいく、直していくという。デザインもそうですけどね。今回の第7世代のあのデザインやったら、どうすんだこの先、みたいな(笑)。
池田 これは批判ではなくて、ちょっと気がついたことが一つあるんです。今マツダが目指しているハードウェアとしてのクルマは、素直で自然で、いってみればミネラルウォーターのようなものを目指しているじゃないですか? でも、デザインはミネラルウォーターの方向じゃないですよね?
藤原 全然違いますね。
池田 そのギャップが面白いなぁと。世の中がそのギャップをどう受け取るのかなと。そういう目でみると、この間モーターショーに出したMX-30のデザインは、とてもミネラルウォーターっぽいんですよね。
藤原 そうなんです、そうなんです(笑)。
池田 だから、おっ、これはもしかしてマツダの中でも同じことを思っている人が、いるのかと思っているんですけど。
藤原 社内の、特にああいう新しいものを作っている連中、プランニングやっている連中とかデザイナーとか、ああいう連中は、MX-30みたいな味も欲しいっていうんです。だから、多分ミネラルウォーターみたいなのが欲しいやつがいっぱいいるんですよ、モデラーも含めて。うわ、こっちのが、落ち着くと(笑)。デザインのボスの前田さん(常務執行役員:前田育男氏)のような色気のあるデザインじゃないほうが落ち着くっていう人もやっぱりいるんです。
池田 ピシッとスーツで決めなくちゃならないみたいで大変だと。
藤原 大変だと。あれはあれで、すごくいいんですけどね。
池田 まあ、そうです。すごいと思います。
藤原 だから、エンジニアリングとデザインのギャップのところは、だいぶんまた議論をし始めてて、あまりにも純粋にやりすぎたかなと。もうちょっと色気のある方向に持っていくのも一つの選択肢だし。今ちょっとやらせているんですけど、ある意味、違う色気のあるものも必要なんじゃないのと。
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