「日本の自動車生産を維持している自負はある」 マツダ藤原副社長インタビュー(6):池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
静粛性とシートと、オーディオ、この3つは自信があります
藤原 カローラもヤリスも凄そうですよね。本当にトヨタはすごい。
池田 あの規模でとんでもない黒字を出しながら危機感の塊ですからね。
藤原 だからわれわれなんてトヨタ以上に危機感を持って、常識を壊していかなくちゃいけないんです。
池田 でもそれをやってきてますよね? シートだって本当にモノになるまでは、すごい時間かかったじゃないですか。だけどモノにしてきたわけですから。
藤原 すんごい時間かかったんです。あれはシート屋さんの持っている常識を変えささないといけなかったんです。理論は分かっても、シートを作る側に、こり固まったものがあるので。結局ずっと長いことやっている連中の常識がなかなか変わらない。これが正しい、これが当たり前なんだと思っているところを、どうやって変えるか。これ静粛性も同じだったんです。
池田 良くなりましたねえ。
藤原 変わったでしょう? すごく。
池田 いや、静粛性素晴らしいですよ。
藤原 でしょ? これも、もう半年ぐらいケンカして(笑)。
池田 Cセグって何なのかを考え直しちゃいましたよ。確かに、ああやって静かになってみると、日本国内に限っていえば、今のスタンダードはBセグなのかと。Cセグはもうプレミアムなのかもしれないですよね。そう考えると、あの静粛性がいると。ただ、それを世界のCセグ全部のスタンダードだっていうのは、ちょっと世の中的にはかわいそうかなっていう気もするんですよ。グローバルのスタンダードは今でもCセグなので。
藤原 それはそうですね。静粛性とシートと、オーディオ、この3つは自信があります。全部、半年間ケンカしたから(笑)。評価のやり方から変えろって。ずっと変わらないっていうことは何か間違ってんだぞ、それを変えない限り変わらないよって。染みついているんですよ、もう長いことやっていると。それを解きほぐして変えていく作業がとにかく大変でした。上からの号令ではなくて、理解するまで議論するんですが、あ、分かりましたって言ってきてからは、もう何も言ってこなくなって、たーっとできるんですよ。
池田 ほお。
藤原 そこまでの間はもうすごく、毎週毎週会議やって、ダメだろう、違うだろうってやってきて、「分かった」って瞬間から何も言ってこないです。もう熱中してやりますから(笑)。
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