2015年7月27日以前の記事
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長さ10メートルの“鉄道向け印刷”から未来の自動改札まで 鉄道技術の進化を探る杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

「鉄道技術展」に出展されたものを見ると、未来を感じさせる最新の技術や、鉄道業界を長年支えてきた技術に触れることができる。展示物から、鉄道の“進化”について考える。

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環境技術 路面電車の線路に芝生を入れる、真の狙い

・軌道緑化

 低床タイプの車両によって、国内でも路面電車が見直されている。しかし、路面電車といえども、道路併用軌道ばかりではなく、専用軌道を持つ路線もある。また、道路と同じ平面でありながら、自動車の進入禁止区域を設ける区間もある。そこで注目されている仕組みが「軌道緑化」だ。路面電車の線路に芝生を設置して「ここは道路ではない」というメッセージを示す。それと同時に、環境に優しい交通機関であるとアピールする効果もある。

 インフラテック社は、軌道緑化システムに用いるシラス緑化基盤を展示した。シラスとは南九州に多く分布する火砕流堆積物で、軽量かつ多孔性という特徴があり、芝生に最適だという。なるほど、鹿児島市電の軌道緑化はコレを使っているのだと納得した。


シラス緑化基盤。排水性も良くレールなどをサビさせない

・小型汚染水処理装置

 鉄道車両の洗浄において、汚水処理の効率化が課題だという。もちろん下水道に直接流すわけにはいかない。車体の洗浄などはクルマの洗車と似たようなもので、汚水処理に手間はかからない。しかし床下機器などの洗浄では濃密な汚水が発生する。機器の清掃にあたり、汚水はバケツや小型タンクにためて、屋外の処理施設まで運んでいる。

 JR東日本テクノロジーが展示していた可搬式小型排水処理装置は、大型スーパーやホームセンターのショッピングカートほどの大きさで、洗浄現場に運び、その場で汚水を処理して排水溝に流せる。つまり車両洗浄汚水と同じ処理が可能になる。展示では空調用熱交換器の洗浄を想定していた。しかし、もしトイレや調理で発生する汚水も処理できたとしたら、ローカル路線のトイレ設置推進、観光列車の運行にも応用できそうだ。


台車で運べる小型汚染水処理装置

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