お客が300万人増えないと割にあわない!? サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由を考察:飲食店を科学する(2/4 ページ)
キャッシュレス決済を導入する飲食店が増えている。大手チェーンの中でサイゼリヤは導入に慎重な姿勢だ。その理由をビジネスモデルから考察する。
サイゼリヤは原価率が高い
売り上げランキング1位はすかいらーくホールディングス(売上高3664億円、営業利益228億円)、2位はサイゼリヤ(売上高1565億円、営業利益95億円)、3位はロイヤルホールディングス(売上高1377億円、営業利益57億円)、4位はジョイフル(売上高728億円、営業利益4億円)、5位はココスジャパン(売上高574億円、営業利益8億円)となっています。
ここで業界1位のすかいらーくと業界2位のサイゼリヤの決算データを比較してみます(サイゼリヤは国内のみのデータ。すかいらーくホールディングスに関しては、セグメント別の決算データが公表されていませんのでグループ全体の決算データとなります)。
売り上げに関しては、サイゼリヤが1189億円に対して、すかいらーくグループは約3倍の3364億円となります。ここで注意したいのが原価率です。すかいらーくグループの原価率が30.4%であるのに対して、サイゼリヤの原価率は36.2%と5.8%も高くなっています。ちなみに他のファミリーレストランチェーンの原価率は業界3位のロイヤルホールディングスが31.8%、4位のジョイフルが32.8%、5位のココスジャパンが32.9%となっています。各社の原価率の数値を比較すると、サイゼリヤの原価率がいかに高いかがお分かり頂けると思います。これは言い換えると、お客さまに対して、安く商品を提供しているということです。同社の掲げる理念である「おいしさとリーズナブルへの挑戦」を実践している結果でもあると言えます。
次に営業利益率を見ていきます。サイゼリヤの国内店舗の営業利益率は4.3%、一方ですかいらーくグループの営業利益率は6.2%であり、サイゼリヤの方が1.9%低くなっています。「たかだか1.9%」と思われる方もいるかもしれませんが、年商1189億円の1.9%ですと単純計算で23億円になります。この額を見ると営業利益率1%の重要さがお分かりになるかと思います。
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