“低体温化組織”をどう変えればいいのか 業務過多とデジタル偏重コミュニケーション(2/5 ページ)
仕事が忙しくて、「同僚とうまくコミュニケーションがとれない」といった人も多いのでは。思いを共有できない組織は、どのように対応すればいいのか。架空企業を事例に挙げて、考える糸口を探っていく。
変革前の大島テクノロジーズ
大手広告代理店出身の社長が11年前に創業した大島テクノロジーズ(架空)。主力事業であるメディア事業とWeb事業で会社を伸ばし、社員数は約120名、そのうち半分近くは開発エンジニアが占めている。市場が右肩上がりのこともあり、仕事の依頼は非常に多く、開発部門のメンバーは日々忙しく仕事をこなしている。
そのような中、組織にひずみが生じ始めていた。クライアントと折衝し仕事を取ってくる営業と、それに基づいて開発を行う開発部門との間の軋轢(あつれき)である。原因は、業務連携のあり方にあった。
仕事を取ってくる立場にある営業部門はクライアントの意向に沿おうと、ときに無理な要望にも応えようとして開発部門にそれを押し付ける。それゆえ開発部門では、「営業からいつも無茶を押し付けられている」という被害者意識がまん延しており、その背景には、仕事が一杯いっぱいでメンバーのモチベーションが総じて低い状態であることがあった。
そのため、クライアントの与件とのズレや納期遅れ、システムエラーなどが多く発生し、クレームにつながっているが、開発としては、今の環境では多少のミスは仕方ないだろうと、どこか開き直った気持ちを抱いていた。
双方が不満を抱く要因はほかにもあった。コミュニケーションにおけるギャップである。開発側はデジタルツールでのコミュニケーションを重視し、営業は対面でのコミュニケーションを求めている。それをどう使い分けるか、双方でうまくコンセンサスが取れていないため、お互いが不満を抱えていた。
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