「賞味期限20分のジュース」「1本2000円」 バナナの高付加価値化が止まらない背景とは:食の流行をたどる(2/4 ページ)
バナナの消費量が増えている。バナナの専門店が人気になっているだけでなく、高額な国産バナナにも注目が集まる。“第3次バナナブーム”が起きていると筆者が指摘する背景は?
バナナの高額化
2つ目はバナナの高額化だ。
みなさんは、バナナの値段についてどんなイメージをお持ちだろうか。おそらく、3〜5本がセットになった房で100〜300円程度だろう。しかし、今、そのバナナの常識を覆すような、恐ろしいほどの高級バナナが出現しているのだ。
筆者がそのバナナに出会ったのは、偶然である。とあるホームパーティーに参加したところ、バナナを手土産に持ち込むつわものがいたのだ。「デザートにバナナとは、また古風な……」と思った。しかし、テーブルに提供されたのは、おそらく私の人生の中で最も丁寧に扱われているであろうバナナだった。皮ごと食べられるということで、1本のバナナを輪切りにし、まるでロールケーキを食べるように口にした。
バナナは前述した通り、99.9%が輸入品であり、長期保存されるため、皮を食べることは避けたほうがよいとされている。しかし、目の前にあった高級バナナは、国産(宮崎県産)で、無農薬で生産されており、皮ごと食べられるのだ。これだけでも驚きだが、このバナナの値段を聞いてさらに驚愕したことを覚えている。品によってばらつきはあるものの、1本1000〜2000円。通常の20倍以上もするのである。国産でかなり希少価値の高い品であるため、その値段にも納得できるが、バナナの常識を覆したことは間違いない。
バナナの味はどうだったか。今まで食べたバナナより、ねっとりと甘く、糖度が高い。通常の輸入バナナの糖度が15度程度なのに対し、この高級バナナは22度とのこと。その甘味は、デザートとして十分に楽しめる逸品である。果物の栄養素は中身だけでなく皮にもあるといわれている。それはバナナも同様であり、ビタミンAや食物繊維など、美容や健康によいとされているものが皮に凝縮されている。「皮まで食べられるバナナ」――なんともキャッチーだが、話題性だけではなく、栄養価が高いという実益も兼ねたものなのである。
これは個人的な意見であるが、皮はそのまま食べてもさほどおいしくない。やはり、皮をむいて食べたほうが、バナナのねっとりとした濃厚な甘みを楽しめる。皮は、いためたり焼いたり、擦ってパンケーキなどに混ぜ込んだりして、その栄養価を丸ごと享受することをおすすめしたい。
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