「賞味期限20分のジュース」「1本2000円」 バナナの高付加価値化が止まらない背景とは:食の流行をたどる(3/4 ページ)
バナナの消費量が増えている。バナナの専門店が人気になっているだけでなく、高額な国産バナナにも注目が集まる。“第3次バナナブーム”が起きていると筆者が指摘する背景は?
バナナはいかに日本に根付いたか
バナナの歴史を振り返ってみよう。
バナナは、日清戦争が終結してから8年後の1903年、台湾から日本に持ち込まれたとされている。舶来品であるため、希少価値の高い果物という位置付けが第二次世界大戦後まで続いた。
1963年、バナナの輸入が自由化された。今や輸入バナナの90%以上を占めるフィリピン産のバナナが日本に入ってきて、誰でも気軽に買える果物となった。戦後しばらく、バナナは高級フルーツの代名詞であった。病院のお見舞い時に持参するものといった位置付けで、価値の高い果物であったが、安価なものが手に入るにつれ、そのポジションをメロンなど他の高級果物に奪われた。
いちご、みかん、ぶどう、りんご、桃といったもともと日本で収穫されていた安価なフルーツを、高付加価値商品として売り出す例もみられるようになった。例えば「ビュッフェのいちご祭り」「丸ごと〇〇」「桐の箱に入った高級ブドウやリンゴ」といった具合だ。こういった商品の中には人気が出るものもあり、バナナの出遅れ感は否めない。
安価なフルーツの中でも“高級化”に出遅れたバナナ。この要因は、バナナが南国のフルーツであり、国産が極めて少なかったからであろうか? いまだに、消費量の99.9%が輸入品であり、国産と言えば前述した高級バナナや、小笠原諸島や沖縄といった極めて南国に近いエリアで自然栽培されている島バナナのみとなっているのである。
そして、2006年にはバナナダイエットがブームに。朝食にバナナを食べるとダイエット効果があるとされ、一世を風靡(ふうび)した“バナナ”。
もし、この“バナナ日本上陸”と“バナナダイエット”をブームと呼んで差し支えないのならば、今のバナナブームを「第3次バナナブーム」と名付けることができるのではないだろうか?
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