債券は「バブル」なのか? 弾けたときに起こること(3/3 ページ)
日経平均は年初来高値を付け、米S&P500指数も史上最高値を更新している。株価の好調さに「上がりすぎではないか」と不安を抱く人もいるようだが、市場関係者の間でもっと懸念される「上がりすぎ」の資産がある。債券だ。
逆回転のシナリオ2:経済悪化で信用リスクが高まる
2つ目のシナリオは経済が大きく悪化した場合だ。返済ができなくなるリスクがないと想定される日米国債とは違い、社債や新興国の国債には返済ができなくなる信用リスクがある。発行体の債務返済能力に疑問が生じると債券価格にはダメージだ。
経済環境が大きく悪化し、企業の業績悪化や資源価格の低下が起きると、これまで投資されてきた資金の引き上げが起こる。引き上げられると利回りが上がり、そのことで債務の借り換えコストが高まって、さらに経営を圧迫する。これが連鎖的に悪化していく可能性がある。
そうでなくとも、過剰供給された資金が流入したのは高い利回りが見込める社債や新興国の債券だ。資金の流入によって、国債に対する上乗せ金利を指すスプレッドは押し下げられた。
格付けがBBBで投資適格の下のほうのイタリアでも、現在の10年債利回りは1.4%程度。投資非適格のBBであるギリシアでも1.4%まで下がっている。共通通貨のユーロ圏にあるとはいっても「格付けから考えると利回り水準がおかしい」と木村氏。
これは社債でも同様だ。「ハイイールド債と呼ばれるような社債もスプレッドが低下している。ただし景気がよい状況でカネ余りなら、企業側も資金繰りに影響しない。ならば少しでもスプレッドが取れるものに投資したほうが合理的だ。事実、ハイイールド債のほうが投資適格債よりもリターンは良好だった。ただし今後続くかどうかは経済状況による」
市場関係者の中には、債券の中でも特にハイイールド債について警鐘を鳴らす人もいる。リーマンショックの際には、米ハイイールド債のスプレッドは15%以上に跳ね上がった。
「ある業種の中で、1社をきっかけにすべての銘柄のスプレッド見直しが起きるということは過去にもあった。リーマンショックの際には住宅業がそうだったし、原油価格が急落したときには、シェールオイル企業などのハイイールド社債の利回りが極めて大きく上昇した」(木村氏)
債券価格がさらに上がり続けるには、金利がさらに下がり続けるか、格付けに見合わないほどスプレッドが低下する必要がある。ただし、特に日欧では金利はマイナス圏にあり、その副作用はたびたび指摘されている。また、実態からかいりしたスプレッドは、何かのきっかけで急上昇する可能性もある。
昨今は、債券部分にレバレッジをかけて運用するバランスファンドも人気となっている。株式とはまた違った債券価格のトレンドにも注意が必要だ。
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