面談のコメントから「辞めそうな人」がここまで分かる――「短期離職者に悩む会社」の人材流出を止めたAIの力(3/5 ページ)
1年以内に多くの人が辞めていく――。そんなソラストの離職率大幅改善に貢献したAI活用法とは。
面談シートのコメント欄は宝の山?
―― もう1つの離職率低減に向けた取り組みである、「スタッフが辞める兆しをAIで発見する」施策は、どのような背景があって始まったのでしょうか。
菊池: 短期間で離職してしまう人を減らすためには、入り口で医療事務の業務に適性がある人を採用するとともに、入社後のメンタルケアを強化して、安心して働ける環境を作る「出口対策」が必要――と考えたのです。
というのもうちの会社は、一般的な企業に比べてメンタルケアをしっかりやる必要があるのです。当社の場合、社員が実際に勤務する現場はソラストではなく受託先の病院です。例えばスタッフが数百人いるような大病院だと、現場のスタッフは、なかなか病院を仕切っているマネジャーとコミュニケーションする機会を持てない。にもかかわらず、当社のスタッフが毎日、顔をつきあわせているわけでもないので、何か不満があっても可視化されないまま辞めてしまうケースが少なくないんです。
こうした課題を解決するために、半ば強制的にコミュニケーションのタッチポイントを作ろうということで始まったのが、「入社して1年の間に7回の面談を行う」という取り組みでした。この7回は、入社直後や1カ月後など、入社してからの1年間で、特に離職が増えるタイミングで設定しており、ここでのケアがうまくいけば、離職率は下がるはずなんです。
当日の会話を充実したものにするため、面談には専用の事前アンケートを使っています。どこに不安や悩みを抱えているかが分かるよう、質問に対する回答を5段階から選んでもらい、それを上司が把握した上で、面談を行います。
このシートの中に、不安や悩みについて自由に回答ができる欄を用意しているのですが、実はここへの書き込みが予想以上に多かったんですね。何らかの分析に使えるのではないかと思って作ったところ、スタッフの8割くらいが、かなり詳細に書き込んでいたんです。
これだけコメントがあるなら、それを分析することで、短期離職を減らす施策につなげられるのではないか――。そう考えたのが、取り組みの出発点でした。
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