連載
“多方面外交”を進めていたのに台風が…… 幸楽苑は苦難を乗り越えて復活できるか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
一時期は落ち込んでいた幸楽苑が復活しつつあった。しかし、台風により工場が被災してしまう。試練を乗り越えて復興できるか。
ラーメン業界最大の店舗数を有する「幸楽苑」。運営会社の幸楽苑ホールディングスは、11月29日と12月6日の2日間、「幸楽苑復活記念! お客様感謝祭 中華そば10円」を開催した。全店で先着100人に、通常440円(税込、以下同)の「中華そば」を10円で提供するものだ。
幸楽苑の既存店売上高(直営店)は、10月が30.7%減(前年同月比)、11月は11.8%減(同)と、台風19号による工場被害の影響で大きく落ち込んだ。このキャンペーンは、幸楽苑が順調に復活しつつあることをアピールするために企画された。
福島県郡山市にある主力の郡山工場が、台風19号による阿武隈川の氾濫により被災。操業停止に追い込まれ、約500店ある全店舗の半数近い約240店で1週間ほどの休業を余儀なくされた。その後は、神奈川県小田原市にある小田原工場から調達することで、店舗は10月20日から順次再開していった。そして、11月4日には郡山工場が復旧。同12日には1カ月ぶりに全店が通常営業に戻った。
幸楽苑は、今期に入ってから既存店の売り上げが4〜8月までは対前年比で伸びていた。9月にその記録は途切れたものの、4.1%減にとどまっていた。今期は好調な状況が続いていただけに、思いもよらない大きな試練に見舞われている。
10月の消費増税以降、外食需要は減退しており、下がり気味の市場で一度失った売り上げを回復するのは、容易なことではない。幸楽苑の復興への取り組みを追った。
関連記事
- 飲み食い放題で「上限3000円」の「定楽屋」が増殖中 料理や接客で“手抜き”してないのにもうかるのか?
飲み放題・食い放題で上限3000円(税抜)の「定楽屋」が増殖している。サービスを削らず調理に手間暇をかけてリピーターを獲得している。1人当たり3000円でもうかっているのか? - 「指混入」だけじゃない 幸楽苑が日高屋に負けた理由
ラーメンへの異物混入事件でブランドイメージを大きく損なった幸楽苑。この事件が現在に至るまでの不振の原因として指摘される。しかし、本質的な敗因は別のところにもあった。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.