“多方面外交”を進めていたのに台風が…… 幸楽苑は苦難を乗り越えて復活できるか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
一時期は落ち込んでいた幸楽苑が復活しつつあった。しかし、台風により工場が被災してしまう。試練を乗り越えて復興できるか。
ローストビーフ入り牛骨らーめんが好調
12月22日、とある幸楽苑の店舗を訪れると、出入口の扉に「『ローストビーフ入り牛骨らーめん』販売終了のお知らせ」をアナウンスする紙が貼られていた。
「ローストビーフ入り牛骨らーめん」(780円)は、12月12〜25日までの期間限定で提供される。ポタージュのようなクリーミーなスープに、ローストビーフが乗っている。店によって提供数が限定されおり、主力商品の価格がワンコインを切る幸楽苑にしては高額な商品であるが、販売好調のため既に予定の数量を売り切った店が続出している。
近年の幸楽苑は、2月に発売したバレンタインデー向け「チョコレートらーめん」など、ユニークな期間限定商品を投入してしばしば話題になる。このような取り組みや、中華そば10円セールの効果もあって、顧客が戻って来ている状況が見て取れた。12月はかなりの売り上げ回復が期待できるだろう。再び既存店の売り上げがプラスに転じる日も近い予感がある。
同社の広報担当者によると、10円セールの開催日には、オープン前にお店に長蛇の行列ができて、開店して間もなく100人に達してしまうケースもあったという。開催日当日、101人目以降で麺類(餃子定食を含む)を食した顧客全員に、翌日から使える「中華そば無料券」を会計時にプレゼントした。中華そば10円にはありつけなかった人でも、次回の来店に結びつくように配慮したキャンペーンだった。
また、12月6〜25日まで、クリスマスTwitterキャンペーンを開催している。幸楽苑のTwitter公式アカウントを、フォーローまたはリツイートすると、抽選で400人に、幸楽苑ギフトチケット(500円分)がその場で当たる。この効果も出ている模様だ。
さらに18〜24日までは、Twitterのフォロワーが10万人を突破したことを記念したキャンペーンも実施した。幸楽苑のTwitter公式アカウントを、フォローまたはリツイートすることで、総額20万円の食事券などが当たるものだ。これは応募期間終了後に抽選が行われ、当選者にはダイレクトメールが届く。
Twitterのフォロワーが増えれば、口コミによるマーケティング施策が効果的になる。これを機に、将来をも見据えた投資を行っていると言えよう。
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