乃村工藝社(お台場)の4階で、人の交流が2倍に増えた理由:水曜インタビュー劇場(リセット公演)(2/6 ページ)
商業施設などの空間をプロデュースしている「乃村工藝社」が、面白い試みをしている。本社の4階にリセットスペースを設置したところ、多くの従業員が利用しているのだ。それだけではなく、レイアウトをちょこっと変更するだけで、人の交流が増えることに。どんなことをしたのかというと……。
お台場のオフィスに課題
土肥: 12月11日の水曜日、現在の時刻は11時10分。この時間帯のリフレッシュスペースといえば、「利用者がちらほら」といったところが多いのですが、ここは違う。すでに席は7〜8割ほど埋まっていて、全体的にざわざわしている。
広さは600平米ほどあって、真ん中に大きな木がある。それを取り囲むようにして、14人が座れるテーブルが1卓。このほかに、6人が利用できるテーブルが7卓、4人が利用できるテーブルが2卓、ソファが3脚ある。さらに、カウンターに椅子が13脚あって、個人ブースにも19脚ある。
仕事の打ち合わせをしている人もいれば、お弁当を食べている人もいれば、卓球をしている人もいれば、瞑想している人もいる(寝てはいない)。あっ、いま仕事をしている人の足元に、ボールがころがってきましたが、嫌な顔をせずにその球をひろって、ポーンと投げ返しました。オフィスでありながら、オフィスでないような空間が広がっているわけですが、なぜこのようなスペースをつくることになったのでしょうか?
乃村: もともとこのスペースには執務室があって、窓際にちょこっとだけリフレッシュスペースがありました。自販機が並んでいて、テーブルが2〜3卓あるといった感じで。とにかく狭かったので、リフレッシュスペースに来ても、リフレッシュできなかったんですよね(苦笑)。
以前のオフィスは芝浦(港区)にあって、そこには中庭がありました。外に出ても、お店がたくさんあったので、「ちょっとコーヒーを飲みたいなあ」と思っても、すぐに飲むことができました。ただ、2008年にお台場に移転して、状況が変わったんですよね。オフィス内に中庭がなく、近隣に飲食店は少ない。従業員の間で「外に出るのは面倒だよね」といった雰囲気が漂っていて、ランチのときも自分の席で食べる人が増えてきました。
「このままではいけない。従業員はもっとコミュニケーションをとったほうがいいよね」ということになって、既存のリフレッシュスペースを見直すことに。お台場のオフィスは13階建てで、執務フロアは4〜12階にある。どのようにすれば、そこで働いている人たちがリフレッシュスペースに足を運んでくれるようになるのか。プロジェクトチームを結成して、「こんなのはどうかな」「これは必要でしょ」といった議論をしていく中で、「できるだけ多くの人に利用してもらって、そこで交流が生まれるような設計にしよう」という話になりました。
土肥: 具体的にはどんな感じに?
関連記事
- 日本郵政の元凶は「多すぎる郵便局」と考える、これだけの理由
かんぽ生命の営業現場が、大変な騒ぎになっている。高齢者をだまし、契約を結ぶ。その一線を超えられない人に対して、「お前は寄生虫」などと罵声を浴びせる。典型的なブラック企業なわけだが、なぜこのような組織になってしまったのか。 - ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 松戸市にあるパン屋で、なぜお客は1800円も使うのか
「パン好きの聖地」と呼ばれている店が、千葉県の松戸市にあるのをご存じだろうか。「Zopf(ツオップ)」である。1個のパンを求めて、朝から行列ができているわけだが、なぜ人はここの商品を食べたいと思うのか。シェフに話を聞いたところ……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.