乃村工藝社(お台場)の4階で、人の交流が2倍に増えた理由:水曜インタビュー劇場(リセット公演)(4/6 ページ)
商業施設などの空間をプロデュースしている「乃村工藝社」が、面白い試みをしている。本社の4階にリセットスペースを設置したところ、多くの従業員が利用しているのだ。それだけではなく、レイアウトをちょこっと変更するだけで、人の交流が増えることに。どんなことをしたのかというと……。
利用者の動きを分析
乃村: レイアウトを見ていただけますか。変更前と変更後で、利用者の動きにどのような変化があったのかを分析しました。変更前は6人用のテーブルを5卓並べていたんですよね。そうしたレイアウトのとき、人はどういった動きをしていたのか。自販機で商品を購入して、長いテーブルで食事をしようかなと思っても、行きにくかったんですよね。右に曲がって左に曲がってまた右に曲がってといった具合に。また、その動線が狭かったので、パッと見た瞬間に「ここで食べるのはやめようか」と感じていた人が多かったのかもしれません。
その大きなテーブルはどんな使われ方をしているのか調べたところ、1人で利用しているケースが多いことも分かってきました。自販機でジュースを買って、大きなテーブルで飲もうとする。しかし、誰かが使っていたら、椅子をひとつ飛ばして座る。次に来た人も同じように、椅子をひとつ飛ばして座るといった具合に、1人利用が多かったんですよね。このような使われ方をしていたので、5卓のテーブルを切り離すことにしました。
結果、どうなったのかというと、複数利用が増えたんですよね。誰かと一緒にご飯を食べたり、チームで打ち合わせをしたり。1人で利用しようと思っていた人は、「6人が座れるテーブルを自分だけ利用するのは、ちょっともったいないな」と感じているのかもしれません。
土肥: ちょっと待った。この部屋を設計するにあたって「人と人の交流を増やしたい」というのは理解できるのですが、「1人で利用したいなあ」と思っている人もいるはず。そうした人はどこを利用すれば?
乃村: 真ん中に木があるテーブルを利用している人が多いですね。レイアウト変更前、そのテーブルは自販機の近くに置いていたので、買ってすぐそこで利用する人が多かった。変更後は部屋の真ん中に置いたので、そこに行くまでに誰かと顔を合わせることがある。「お疲れさま。そーいえば、この前のプロジェクトどうなった?」といった会話が生まれるんですよね。というわけで、人と人の接触率が上昇する傾向がうかがえました。
土肥: ふむふむ。
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