乃村工藝社(お台場)の4階で、人の交流が2倍に増えた理由:水曜インタビュー劇場(リセット公演)(6/6 ページ)
商業施設などの空間をプロデュースしている「乃村工藝社」が、面白い試みをしている。本社の4階にリセットスペースを設置したところ、多くの従業員が利用しているのだ。それだけではなく、レイアウトをちょこっと変更するだけで、人の交流が増えることに。どんなことをしたのかというと……。
リフレッシュできないリフレッシュスペース
土肥: 机の配置をちょこっと変えて、動線をちょこっと広げるだけで、人のコミュニケーションは大きく変わるのですね。
乃村: この部屋には机、椅子、ソファなどを設置していますが、大きなテーブルを置いたらどうなるのか、小さなテーブルをたくさん置いたらどうなるのか、和室にしたらどうなるのか。このように、ちょっと手を加えるだけで、人の動きは大きく変わるんですよね。
話は変わりますが、この部屋の名称は「リセットスペース」。仲間たちとのコミュニケーションを活性化させることが目的なので、このような名称にしましたが、例えば「食堂」というネーミングにすればどうなるのか。「ランチのときにしか使えないよね」と感じる人が多くなって、実際そのように使われるでしょう。コンセプトに沿った形で使ってもらうには、どのような名称にするのかもとても重要なんですよね。
土肥: 最後の質問です。乃村工藝社の4階に人が集まっているらしいぜとなれば、他社から「ウチも同じようなモノをつくってよ」と言われませんか? いや、相談されるのは問題ないとして、「ウチも同じモノをつくろう。そうすれば、従業員の満足度も上がるはず」と丸パクリするケースも出てくるのでは?
乃村: そっくりそのままのモノをつくっても、たぶんうまくいかないでしょうね。なぜか。会社によって働き方は違いますし、社風も違うし、従業員が求めているものも違う。というわけで、会社によってレイアウトを変えなければいけません。
土肥: この記事を読んで、そのままそっくりのモノをつくっても、リフレッシュできないリフレッシュスペースができるわけですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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