コラム
20年4月以降の「原則禁煙」で飲食店の売り上げは上がるのか、下がるのか データから読み解く:「紙巻派」には厳しい結果に?(3/3 ページ)
2020年4月に施行される改正健康増進法。多くの飲食店は「原則禁煙」となり、紙巻たばこを喫煙しながら飲食できる店舗は激減しそうだ。原則禁煙は店舗の売り上げにどう左右するのか、PMJが発表したデータから読み解く。
「原則禁煙」に対応すると売り上げはどうなる?
高橋氏によると、多くの店が禁煙化、分煙化による売り上げ減少を危惧しているという。その一方で、同社のデータからは意外な結果も見えてきた。これまで分煙としていた店舗が喫煙環境を切り替えたときの売り上げ推移を分析したところ、「全面禁煙」か「完全分煙」に切り替えた店舗では、切り替て1カ月後、2カ月後の売り上げが減少した。
一方、「電子たばこ、加熱式たばこのみ分煙」は切り替え後1カ月こそ売り上げが減少したが、2カ月以降は売り上げが切り替え前程度に復活した。また、完全分煙としつつ喫煙スペースの中に電子たばこ、加熱式たばこ専用スペースを設けた店は、切り替え後1カ月も売り上げが減少せず、以降も減少しなかった。
つまり、喫煙環境の切り替えでは、喫煙しながら飲食する余地を残すことが肝であるという結果になった。ただ、紙巻たばこを喫煙しながら飲食できる環境にするためには「喫煙目的施設」への対応が必要となる。しかし、喫煙目的施設の場合は20歳未満の立ち入りができない。飲食店のアルバイトには高校生も多く、20歳以上の人員確保にコストがかかってしまうだろう。そのため、紙巻たばこの喫煙者を切り捨てる店舗も多そうだ。
紙巻たばこの喫煙者にとっては、周囲から白い目で見られるだけでなく、相次ぐたばこの値上がりや飲食店の対応など、より一層厳しい風が吹きそうだ。
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