リニア問題はどうなる? 2019年の鉄道ビジネス、注目された「新幹線」:台風による新幹線車両の被害も(1/2 ページ)
「ITmedia ビジネスオンライン」の人気コンテンツである鉄道記事の中から、2019年に注目された記事を振り返る。「新幹線」に関するテーマへの関心が高かった。
2019年もあとわずか。今年は、東京五輪・パラリンピックが開催される20年とその先に向けて、テクノロジー活用や働き方改革、街づくりなどが進んだ1年だった。鉄道業界でも、新駅や新路線の整備などがたびたび話題になった。一方、台風の影響で計画運休の実施もあった。自然災害による被害の大きさに心を痛めた人も多かったのでは。
「ITmedia ビジネスオンライン」の人気コンテンツである鉄道記事の中から、19年に注目された記事を振り返る。20年以降も重要課題となるテーマ、特に「新幹線」に関する記事が出そろった。
リニア中央新幹線、静岡工区はどうなる?
19年に人気だった記事を並べると、上位はほぼ全てが「新幹線」に関するテーマだった。全国各地をつなぐ高速鉄道に対する注目度は常に高いようだ。
その中でも注目されたのが、JR東海が工事を進めている「リニア中央新幹線」を巡る問題。27年の開業を予定しているが、静岡県内の工区はいまだ着工できていない。県内区間の長さは11キロだが、工事によって大井川の水量が減少するとして、知事が着工を認めていない。国土交通省も交えて協議を重ねているが、見通しは不透明だ。
「リニア中央新幹線」の注目記事
九州でも新幹線を巡る問題が注目されている。建設が進む「九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)」だ。計画区間のうち、武雄温泉(佐賀県)〜長崎間はすでに工事が進んでおり、22年度の開業を予定している。
一方、佐賀県内の新鳥栖〜武雄温泉間は未着工。国や長崎県、JR九州は、車輪の間隔を変えることで在来線の線路も走れる「フリーゲージトレイン」の導入を断念し、他の区間と同じ「フル規格」での整備を進めようとしているが、地元の佐賀県は並行在来線への影響などを理由に反対している。
「長崎新幹線」の注目記事
関連記事
- 新幹線と飛行機の壁 「4時間」「1万円」より深刻な「1カ月前の壁」
所要時間が4時間以内なら飛行機より新幹線が選ばれるとされる「4時間の壁」。それよりも「1万円の壁」を越えるべき、というコラムが話題になったが、新幹線の“壁”は他にもある。航空業界と比べて大きな差がある、予約開始「1カ月前」の壁だ。 - 着工できないリニア 建設許可を出さない静岡県の「正義」
リニア中央新幹線の2027年開業を目指し、JR東海は建設工事を進めている。しかし、静岡県が「待った」をかけた形になっている。これまでの経緯や静岡県の意見書を見ると、リニアに反対しているわけではない。経済問題ではなく「環境問題」だ。 - リニアを阻む静岡県が知られたくない「田代ダム」の不都合な真実
静岡県が大井川の減水問題などを理由に、リニア中央新幹線の建設工事に「待った」をかけ続ける一方で、「黙して語らない」大量の水がある。静岡県の地元マスコミも触れられない「田代ダム」の不都合な真実を追った――。 - 水没した北陸新幹線 「代替不可」の理由と「車両共通化」の真実
台風19号の影響で北陸新幹線の車両が水没した。専用仕様のため、他の車両が代わりに走ることはできない。なぜJR東日本は新幹線車両を共通化していないのか。一方で、北陸・上越新幹線の車両共通化に向けた取り組みは始まっている。 - こじれる長崎新幹線、実は佐賀県の“言い分”が正しい
佐賀県は新幹線の整備を求めていない。佐賀県知事の発言は衝撃的だった。費用対効果、事業費負担の問題がクローズアップされてきたが、これまでの経緯を振り返ると、佐賀県の主張にもうなずける。協議をやり直し、合意の上で新幹線を建設してほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.