リニア問題はどうなる? 2019年の鉄道ビジネス、注目された「新幹線」:台風による新幹線車両の被害も(2/2 ページ)
「ITmedia ビジネスオンライン」の人気コンテンツである鉄道記事の中から、2019年に注目された記事を振り返る。「新幹線」に関するテーマへの関心が高かった。
北陸新幹線水没、計画運休……災害に見舞われた1年
19年は台風による大きな被害に見舞われた。10月の台風19号では、豪雨により全国各地の河川で堤防が決壊。広範囲で浸水被害をもたらした。長野市の長野新幹線車両センターの被害については、報道で目にして驚いた人も多いだろう。北陸新幹線の10編成120両が水没してしまった。被害車両は廃車となり、運行にも支障が出ている。12月24日には、国交省が災害による新幹線の浸水被害の想定について集約し、高所への移設、車両避難計画策定などの対策を各社に求めた。
また、9月の台風15号、10月の台風19号では多くの鉄道事業者が「計画運休」を実施した。運行再開時などに駅に人が押し寄せる混乱もあった。災害への備えに加えて、通勤や働き方を見直す機会にもなった。
「自然災害と鉄道」に関する注目記事
他にも、多くの人が関心を寄せる新幹線の記事があった。価格や指定席の予約期間など、サービスに対する関心の高さもうかがえる。また、20年5月からは、東海道、山陽、九州新幹線に一定以上の大きさの荷物を持ち込む場合に「事前予約」が必要となる。東京五輪・パラリンピックが開催されることや、外国人観光客が増えていることが背景にあるようだ。
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日本が誇る技術力を備えた新幹線。新設路線の整備についてはさまざまな議論があり、「利用者にとって何が本当に必要か」をあらためて見直す時期が来ているのかもしれない。新しいテクノロジーがどんどん実用化され、移動サービスについては「MaaS(Mobility as a Service)」による連携も進みつつある。20年も、鉄道ビジネスの最新情報や詳細な解説をお届けしたい。
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