モーターショーに女性コンパニオンは本当に必要か――「男性目線マーケティング」で露呈した矛盾:元ドライバーの女性ジャーナリストが斬る(2/4 ページ)
きらびやかな女性コンパニオンが目立った東京モーターショー。「男性に絞った」イメージ戦略は今なお有効なのか? 元ドライバーでもある女性ジャーナリストの筆者が斬る。
きらびやか、でも“邪魔”な女性コンパニオン
実際に衣装を着ている彼女たち本人が、同じように思っているのか思っていないのかはさておき、コンセプトカーのデザインに合わせたであろう、これらの衣装を身にまとった彼女たちは、言われるでもなくカメラを向ければ笑顔でポーズを取る。
こうした光景は、日本のモーターショーだけに限ったことではない。各国、特にアジアのモーターショーにも見られる光景ではあるが、中でも特に東京でのコンパニオンの多さは異常ともいえる。もはや女性を見に来ているのかと思うほど、強い言い方をすればコンパニオンに興味のない筆者にとっては、大変「邪魔」だった。
実際、女性来場者に限らず、男性来場者の中からも「コンパニオンやカメラマンが邪魔」「純粋にクルマだけ写真に収めたいのに笑顔でポーズを取られると、どいてと言いづらい」とする意見は多い。
モーターショーに女性が立つこと自体に違和感を覚える人も少なくないようで、Yahoo!で「東京モーターショー コンパニオン」と検索すると、「なぜ」という関連ワードが浮上する。
体験型やキッザニアとのコラボレーションをしたことで増えた家族連れ。衣装の女性が付いたクルマに、「小さな来場者」たちは何を思うのだろうか。
高度成長期に「マッチ」した女性コンパニオン
3種の神器と併せてクルマが飛ぶように売れた1950年代からの高度経済成長期。当時は日本のみならず、世界でも生活の大黒柱は男性で、女性は家庭に入り夫をサポートする役回りだった。
ゆえに、クルマを買うのも運転するのもほぼ100%が男性。そんな時、マーケティングのいち手法として誕生したのが「女性コンパニオン」だとされており、若く美人な女性を商品の前に立たせることは、当時有効な手段だった。
現に女性コンパニオンは、1955年の東京モーターショーで初登場したとされている。
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